イラン料理の概要
イランの料理の基本は「煮込み」です。それも「やや煮込みすぎ」が特徴。そのため料理に非常に時間がかかります。私の友人は朝仕事に出かける前に鍋を火にかけ、午後帰るまでそのまま、ということがありました。
「美味しい料理は家で、雰囲気はレストランで」これがイランの食事の基本です。雰囲気のいいレストランで食べたらがっかりはイランではよくあること。イラン人にとってレストランは雰囲気を楽しむ場所。味は二の次です。その代わりに家庭の味はとてもレベルが高いです。
主食はパン
イランの主食はパンです。複数の種類のパンがあり、また地方独自のパンもあります。代表的なパンとしては、(右上)サンギャク(上)とバルバリーなどがあります。これらはイラン全土で食べられています。
パン屋で焼きたてのパンを買って食べます。
イランの食卓にはしばしば米とパンの両方が並び、どちらが主食なのか迷うことがあります。
米をお皿にとり、その上におかずをのせて、カレーライスみたいにして食べることが多い。こうなると、米が主食という感じです。一方で米をパンにはさんで食べる人がいます。「主食・副食」の概念がないのかもしれません。
代表的なイラン料理
アーブグシュト
羊肉とヒヨコ豆、ジャガイモをトマト味で煮込んだ料理。イランで最もポピュラーな家庭料理です。
レストランなどでもよく供され、その場合は上の写真のような壺に入って出てきます。壺の中味を上のお皿に出し、金属の棒でつぶして、パンにはさんで食べます。(下の写真)
アーシュレシュテ
ソバのような麺を小さくして入れ、豆と野菜で煮込むスープです。
(*「アーシュ」とは、スープのことです)
ホレシュテゲイメ
肉とレンズ豆の煮込みです。
*「ホレシュテ」とは煮込みのことで、「ホレシュテ・バーテンジャーン(ナス)」といえば、ナスの煮込み。
ホレシュテのうち、最もポピュラーなのが「ホレシュテ・ゲイメ」です。
ゴルメサブジ
ほうれん草やハーブを羊肉や豆と煮込んだ料理です。乾燥レモンを入れることもあります。
おこげ
イランでは米を料理するとき、かならず「おこげ」を作ります。
イランの食事でおこげはとても重要で、最もおいしい部分として別皿に盛られ、お客に真っ先に振舞われます。
おこげが上手にできなければ、米がうまく炊き上がったことになりません。
米だけでなくパスタ、パンでも必ずおこげを作ります。
ココ・サブジ
野菜入りのオムレツ。ココはタマゴ、サブジは野菜の意味です。
米料理「チェロウ」・「ポロウ」
白い米を「チェロウ」、具を入れて炊き込んだものを「ポロウ」と言います。
チェロウは主食のような存在ですが、ポロウは「おかず」として食べます。
上の写真はアダス・ポロウ。アダスは豆の意味なので、豆入り炊き込みご飯です。
そのためポロウはパンなどと一緒に食べるのですが、驚くことにイラン人はポロウをパンに挟んで食べたりします。
米の炊き方は炊き方は、いったん茹で、芯が残る程度で火を止めて水分をきり、再度鍋に移してじっくり炊き込みます。
ケバブ
イランの家庭では炭火で焼きます。イランの家庭には、たいてい肉を串刺しにする棒が常備されています。
家庭の食卓。右下は羊肉のケバブです。ケバブには「焼きトマト」が必ずセットになっています。ケバブの上が下で紹介する「ドルマ」、ケバブの右がピクルスです。
ドルマ
ドルマは野菜やひき肉と料理した米を、ぶどうの葉やキャベツなどでくるんだ料理。
くるむ野菜は、他にナス、パプリカ、ズッキーニなども使われたりします。
ドルマと同様の料理は北アフリカから中央アジアあたりにもあり、エジプトの場合は「マフシ」、トルコからイランにかけては「ドルマ」と言います。
手間がかかる料理ので、イランではどちらかといえばごちそう料理。家庭によっては年に1~2回しかつくらないこともあります。
ぶどうの葉が手に入るのは春から夏。春の方がやわらかいので、この時期に葉っぱを買い、冷凍保存しておきます。
野菜サラダ
メインの料理には、たいていつけ合わせの野菜サラダがついています。
これはキュウリ、タマネギ、トマトを刻み、右のドレッシングをかけて食べます。
ハーブ野菜のサラダ。イランではニラも生で食べます。
ピクルス
イランの食卓にはしばしばピクルスが添えられます。一部買ってきますが、ほとんどは自家製です。
サルシール
サルシールは乳脂です。沸騰したミルクが冷めた時に、表面にできるもの。
パンにつけて食べます。ハチミツとサルシールの組み合わせは絶品です。
■お問い合わせ*Contact→連絡先 e-mail