ガンになったら自然療法をするべきか?
友人があちらの世界へ旅立ちました。膵臓ガンでした。家族とごく少数の人以外、闘病生活を伏せていたため、旅立ちの後に知った悲しい別れになってしまった。
それを知ったとき、彼女にこの本を見せたかったと思いました。「今あるガンが消えていく食事」。
毎日数種類の生野菜を使ったジュースを飲み、減塩し、玄米菜食中心の食事をするというもの。かなり効果があるらしく、ガンが良くなったケースが多数紹介されています。70代で膵臓ガンにかかった女性も、この療法で癌細胞が縮小しているとのこと。
人生最期を楽しむために
彼女のご主人によれば、彼女は3年前にガンが見つかってから、マクロビオティックをはじめとして色々な食事療法を試みたのだそうです。しかしそれらは辛いものが多く、続けることが難しかった。
そして結局「もうこのさい、食べたいものを好きなだけ食べよう」という考えに落ち着いたという。それを聞いた時、一瞬残念な気がしましたが、「それでよかったのでは」と思いました。
いくつかの食事療法を調べ、トライし、それと「残りの人生を楽しむこと」を天秤にかけ、考え抜いての選択だったろうと思うから。
食事療法をしたら、もしかしたら1年か2年、あるいはそれ以上長く生きられたかもしれません。しかし毎日食べたくないものを食べていたとしたら、それで幸せなのか。
それはおせっかいかもしれない
実は私の親戚がガンで闘病生活を送っています。私はこれまで彼女に「ガンが治る食事」のような内容の本を送ったり、仕事をやめて治療に専念したら?と言ったり、ガンに良いことで知られる温泉に行くようにすすめたり、自分が良かれと思うこと彼女に助言してきたつもりでした。
しかし彼女の反応は鈍く、あいかわらず仕事を続ける彼女に、内心じくじたる思いを抱いてきました。
しかし気づいたのです。それは私のおせっかいだったのだと。
「親切」なことをしているとばかり思っていたが、本人にとっては負担になっていたかもしれないし、ありがた迷惑なだけだったかもしれない。
たとえ健康に良くないと端から見て思われることでも、本人がそれを選び、満足していたら、それを他人がどうこうしようとするのは愚かなこと。
もし旅立った彼女が闘病生活の最中にいることを事前に知っていたら、私は親戚の女性にしたのと同じように、「ガンが消える食事」のような本を送りつけ、彼女に負担を強いていたに違いない。
彼女は旅立つ直前の自分の誕生日に、愛娘2人とご主人、お姉さんとディズニーランドへ行ったという。ベッドから起き上がることも困難になってしまった体で、車椅子に乗って。
それを聞いた時、最後まで人生を楽しみ抜いたんだなあと思いました。各方面に友人が多く、それもとびきりユニークで個性的な人ばかりだったから、じゅうぶんに充実した楽しい人生を満喫したに違いない。
人には人生での「楽しみの総量」というのが決まっているのだと思います。それが100だとして、100の楽しみを堪能し終えた人は、神様が「もう十分楽しんだでしょ」と、天国へ誘うんだと思います。
彼女の早すぎる旅立ちに接すると、そうとしか思えないのです。
イスラム圏では、皆が来世の存在を信じていて、来世こそ本当の人生だと思われている。
来世で天国に行った人は、毎日美味しいお酒を飲んで楽しい毎日を過ごす。
彼女は今頃きっと美酒を片手に、はるか彼方から自分勝手でおろかな私を見下ろして笑っているでしょう。
「ツネミ、天国へ入るには、まだまだ修行が足りないね」
いつかきっと、あちらの世界で彼女と楽しく語り合える日がくると信じています。
それまで待っててね。
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