シャリーア(イスラム法)とは?*コーラン・ハディースとの関係
シャリーアとは?
シャリーアは「信者が従うべき規範」、「信者の生きる指針」です。信仰、道徳規範、契約、商行為など、人間生活のあらゆることが含まれます。
イスラムとは「アッラーに全面的に帰依する」宗教ですが、そのために「具体的にどうすればいいか」を示すのが「シャリーア」です。
シャリーアの成り立ち
シャリーアはコーラン、ハディース、イジュマー(合意)、キヤース(類推解釈)が元になっています。これらの内容を整理し、組織化して「正しき道」を示したものが「シャリーア」です。
イスラムが興った当初、人々はコーランとハディースに沿って暮らしていました。
しかし時を経てイスラムが広大な地域に広がるにつれ、この2つだけでは対処しきれない問題も生じます。
そこでウラマー(イスラム法学者)たちが話し合い、コーランやハディースの精神に合うような「イジュマー(合意)」を出して、それを適用するようになりました。
それでも解決しない問題は、先例から類推した「キヤース」で対処します。
コーラン・ハディース・スンナとの違い
シャリーア=イスラム法(コーラン、ハディースなどから作られている)。
コーラン=イスラム教の聖典(神から下された啓示)。
ハディース=預言者ムハンマドの言行録。
スンナ=ハディースに基づいて行う慣習。
シャリーアの内容
シャリーアに含まれるのは、宗教(礼拝や巡礼)、結婚、相続、商売、取引、社会関係、何を食べ飲むべきか、沐浴のやり方、衣服や挨拶の仕方など人間生活の全てです。それらは、この5つに分けられます。
③やってもやらなくてもよいこと
④やった方がよいこと
⑤やらない方がよいこと
信者はこれらに沿って日々生活します。
シャリーアのルールは不自由?
こうしたルールがあるのは窮屈な感じがします。しかしスポーツをプレーするには、ルールが必要です。日常生活もそうです。
またイスラム教徒たちは、生まれた時からシャリーアに沿って生きているので、自然に身についています。
日本人も誰かに会ったらお辞儀したり、他人の家にお邪魔したら靴を揃えたりと、生活の中で自然と身についたルールを実践しています。それと同じです。
シャリーアと法律の違い
シャリーアと法律の違いは、以下の通りです。
・法律=法の部分だけ
・シャリーア=法律よりずっと範囲が広い。法律、道徳、宗教などを含む
・法律=人間が作ったもの
・シャリーア=神の意思による
・法律=ふだんその存在を意識していない
・シャリーア=敬虔な信者は常に意識している。
何か問題が起きた時に、人は初めて法律の存在に気づきます。ふだん法律のことなど、考えてはいません。
シャリーアは生活の全てをカバーしていて、信者は常にシャリーアを意識して暮らしています。
シャリーアと近代法
現在はどの国でも近代法が導入されており、シャリーアと近代法を折衷して施行しています。
私的な領域(結婚、離婚、遺産相続)、信仰、道徳などはシャリーアの判断によるのが普通です。
ただ、これも国によっても違います。サウジアラビアとイランでは、シャリーアが大幅に導入されています。トルコはシャリーアの公的領域への侵入を大きく制限しています。
シャリーアについて知りたい方の参考になれば嬉しいです。
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