中東・アラブの人は何を食べている?
中東やアラブの人は何を食べているのでしょう?主食や代表的な料理をご紹介します。
主食はパン
中東アラブの主食はパンです。国によって形はさまざま。
イランのパン
イランのパンはとにかく大きいのが特徴。「サンギャク」「バルバリー」などいくつか種類があります。町中にはたくさんパン屋があり、それぞれ作るパンは1種類と決まっているようです。
トルコのパン
トルコのパンは個人的には一番美味しいと思います。写真はトルコ東部にある小さな町チェルミックのパン屋さん。
エジプトのパン
エジプトで一般的なのは「イーシュ(イーシュ・バラディー)」という全粒粉から作る茶色いパン。このイーシュをスプーン代わりにして、おかずをつかんで食べます。イーシュは中が空洞にいて、そこにおかずをはさんでサンドイッチにして食べることも多いです。
田舎ではイーシュも食べますが、自家製のパンも食べます。こちらは「イーシュ・シャムシー(太陽パン)」です。丸い形に整えたパン生地(イーストも含む)を1~2時間日向にさらして膨らませ、それをオーブンで焼きます。
モロッコのパン
モロッコで一般的に店で売られているのは、写真手前の丸いパンです。またモロッコでは、自分の家でこねたパンを、パン屋に持って行って窯で焼いてもらうことも一般的です。オーブンがない家があるのでしょうし、家でこんがり良い具合に焼くのはけっこう大変だったりします。これはなかなか良いサービスだと思います。
田舎では自分の家でパンを焼きます。昔ながらの窯の中で火をおこし、ふいごで風を送りながら焼きます。
チュニジアのパン
フランスの植民地だったため、フランスパンもよく食べます。
チュニジアの田舎では地中に埋め込んだ窯の中でパンを焼きます。上は北アフリカの先住民ベルベル人のパン作りです。
①小麦粉、水、塩、ふくらし粉少々をよく練る。
②土中の窯の中で炭をつくる(枯木を燃やして)。
③できた炭を取り出す。パン生地を窯の内側にペタッとはりつける。
④窯にふたをし、ふたの上に熱い炭をのせる。焼けたらできあがり。
シリアのパン
首都ダマスカスのパン屋さん。熱した窯の中に生地を入れて焼きます。シリアの方々は、毎朝パン屋に焼き立てのパンを買いにいきます。
サウジアラビアのパン
サウジアラビアでは、毎朝オーブンでパンを焼く家庭が多いです。
米はおかずに近い*各国の米料理
米はどちらかというと「おかず」です。白いご飯を食べることは少なく、油で炒めたりして食べます。米料理がある時も、必ずパンも食べます。
エジプトの米料理
エジプトの食事。中央にあるのがごはん。シャーレイヤという小さなパスタと一緒に炒めて食べるのが一般的です。
サウジアラビアのカブサ
サウジアラビアの家庭でいただいた昼食のカブサ。サウジ人は毎日のようにカブサを食べます。(→カブサ<サウジアラビアの国民食>の作り方:サウジの地方の家庭にて)
代表的な中東アラブ料理
代表的な中東アラブ料理をいくつかご紹介します。
豆料理
ヒヨコマメ
日本でもよく知られているヒヨコマメのペースト「ホムス」حُمُّص ḥummuṣ。現地ではヒヨコマメを煮込んでスープにし、パンとともに食べたり、クスクス(下に説明あり)のスープに入れたりします。上はチュニジアの大衆料理「ラブラビ」。煮たヒヨコマメにレモンやトウガラシ、半熟卵などをトッピングして食べます。チュニジア人は、パンを細かくちぎって入れます。パンがスープを吸ってふにゃふにゃになり、それがまた美味しいのです。
ソラマメ
エジプトでヒヨコマメ以上に愛されているのがソラマメの煮込み「フール」。エジプトの朝食の定番です。午前中は町のあちこちにフールの屋台が出て、出勤途中のサラリーマンたちでにぎわっています。
タアメーヤ(水に浸して柔らかくしたソラマメをつぶし、香辛料を加えて団子状にしてあげたもの)も、朝食に好んで食べられているエジプトの大衆料理です。他にレンズマメのスープなどもあります。このように中東・アラブでは日本以上に豆料理が食べられています。
クスクス
クスクスはチュニジア、アルジェリア、モロッコなどマグレブ地域の代表的な料理です。クスクスという世界最小のパスタに、野菜と肉を煮込んだスープをかけて食べます。チュニジア料理②クスクスの作り方をチュニジアママから伝授!
タジン
肉と野菜を煮込んだシチューです。日本では、あのとんがり帽子のような独特な形の「タジン鍋」が有名ですね。現地の家庭では圧力鍋を使います。その方がスピーディに仕上がるからです。
(→家庭でつくるモロッコ・タジン*モロッコのお母さんのレシピ)
モロヘイヤスープ
モロヘイヤは日本ではもっぱらおひたしにしますが、中東ではスープと決まっています。だしはチキンが多く、最も美味しいのはウサギと言われています。
葉物以外の野菜はトマトベースの煮込みにするのが中東・アラブでは一般的です。
ケバブ&バーベキュー(肉料理)
中東は魚より肉がメインです。最もよく食べるのはチキンで、次がウシやヒツジなどですが、ウシはどちらかというと煮込み料理に使うことが多いです。ラクダ肉も食べますが一般的ではありません。現地の人の意見では、わりと硬いとか。残念ながら、私はまだ食べたことがありません。
マフシorドルマ
料理した米を野菜の中に詰めた料理で、北アフリカから中央アジアあたりまで幅広く食べられています。エジプトでは「マフシ」、トルコからイランにかけては「ドルマ」とよばれています。野菜はズッキーニ、ナス、ピーマン、キャベツ、が使われます。ブドウの葉で包むこともあります。作るのに手間がかかるので、どちらかといえば特別な時の料理です。
ソーセージ(腸詰料理)
中東にもソーセージがあります。エジプトでは「モンバール」といい、牛の腸の中に、ハーブやスパイスと料理した米を詰めます。外はパリパリで中はモッチリ。チュニジアでは「メルゲーズ」といい、こちらは羊の腸に詰めたソーセージ。中身は米ではなく、スパイスと料理した羊肉です。
魚料理
肉の方がポピュラーとはいうものの魚もよく食べられています。たいていはフライやグリルにして食べます。生では食べません。調理の際、臭みをとるためにスパイス(ターメリックやコショウなど)やハーブ野菜などと調理します。
モロッコの大衆魚の代表はイワシです。開きにせず、そのまま炭火で焼きます。日本と違うのはパン、サラダと食べること。