サウジアラビアでラマダン*家庭とメッカとラマダンボックス
サウジアラビア人はラマダン月をどのように過ごしているのでしょう?ラマダン月に家庭で食べるスペシャルな料理や、聖地メッカの様子などをご紹介します。
家族そろってイフタール
ラマダンでは日の出から日没まで飲食をたちます。そして日没後に断食明けの食事(イフタール)を食べます。
このイフタールは大勢で食べるのが良いとされ、ふだんすれ違いが多い家族も、ラマダン時は必ず家族そろってイフタールを食べます。
日没の礼拝の時刻が近づくと、家族みんながリビングに集まり、テレビでマッカの様子を見ながら、日没を待ちます。
そしてテレビでアザーン(礼拝の時刻を知らせる呼び声)が流れると、まずはデーツを口にします。
デーツはコーランに「神のあたえた食物」と記載されていて、断食明けはまずデーツを食べるのが、スンナ(預言者がすすめる行い)なのです。その数は2か、4か6の偶数と決まっているそう。デーツとともにコーヒー、ヨーグルトをいただきます。
デーツの後は礼拝。それを終えると、ダイニングに集まり、家族そろっての食事です。この時のために、サウジのお母さんは朝から腕をふるいます。ラマダン中は、ふだんよりごちそうが並ぶのは、どこのイスラム圏の国でもいっしょです。
サウジの家庭でのイフタールの定番は、ラマダンスープとサンブーサです。上はサンブーサ。肉をミキサーで細かくし、それに刻んだニンジンやコリアンダーを入れ、塩、胡椒などで味付けしたのち、皮にくるんで揚げたもの。インドのサモサと少し似ています。
こちらはラマダンスープ。材料はビーフとヤギ肉、ひき割り小麦、トマト3つ、玉ねぎ4つ、ガーリック7,8、粒の胡椒、コリアンダー、ターメリック、塩、など。
砕いた小麦を一晩水につけ、その後水をとりのぞき、30分間火にかけます。そしてオニオン、ガーリック、トマト、粒状のすべてのスパイスを入れます。作るのに2時間半くらいかかります。
食後はデザートタイム。すでに食事でおなかいっぱいですが、デザートは別腹ですね。右はお菓子店で買ったもの、左がお母さんの手作りです。
メッカでのラマダン
ラマダン中、サウジアラビアの多くのモスクでは、無料でイフタールが配られます。メッカのハラーム・モスク(聖モスク)も同様。ラマダン中メッカには、ふだんにも増して大勢の人が集まります。それはもう、身動きもとれないくらい。
イフタール時には、多くの人がポットを手に持ち、周囲の人にコーヒーをふるまいます。ポットには自分でいれたアラビック・コーヒーが入っています。
イフタールの場には、余った食事を集めるNGOのスタッフが待機。集めた食材は、主に貧しい人たちに配られます。良いシステムですね。
サウジの子どもたちのラマダン
ラマダンが近づき、そしてラマダン期間中、サウジのスーパーではラマダンボックスが店頭に山と積まれます。これにはさまざまな食料品を詰められていて、サウジの人々はボックスを主に恵まれない家庭に配ります。ラマダン時は、ふだんにも増してムスリムの方々の「分かち合い」精神が発揮される時なのです。
この時期、サウジアラビアの母親たちは有志をつのり、子供とともにラマダンボックス作りをします。それにスーパーで買った食材を詰め、子供といっしょに身近にいる貧しい人々に配るのです。
ボックスを作ったら、みんなでそろってスーパーに買い物へ。サウジのスーパーの買い物カゴは大きいですね!購入する食材を選ぶのは、もちろん子どもたち。
店内にはタッチパネルが設置されていて、買い物途中で、今どれほどの金額がカートに入っているかが、わかるようになっています。
お会計がすんだら、自分が作ったラマダンボックスに買った食材を詰めていきます。
ボックスに入れる食材。オイルや米、砂糖、デーツ、フール(そら豆)などです。サウジの食生活に欠かせないものばかり。
それを自宅の近所の恵まれない境遇の人に渡します。すごく良い習慣だなと思います。日本の小学校などでも、何かこういったことを取り上げてみてもいいかも。
こうやって育つので、サウジの人々は貧しい人へ与えることが、ごくごく自然にできるのでしょう。