2025-04-25

パダンで過ごすイード・アル=フィトル(断食明け祭り)

インドネシアのイード・アル=フィトルの女の子

2025年のイード・アル=フィトルはインドネシアのパダンのAさん夫婦と過ごしました。

イスラムの主な祭りは2つあり、①犠牲際イード・アル=アドハーと②断食明けのイード・アル=フィトル(断食明け祭り)です。

イスラム圏はどこも①の方が大きいのですが、インドネシアでは②が最大の年中行事。10日くらい休みになります。日本のお正月のようなもの。学校も会社もこの間は休みです。

人々は家族や親戚を訪ねあいます。海外旅行に行く人はいても、きわめて少数派。ほとんどの人は里帰りをして家族と親睦を深めます。だからジャカルタなど大都市は、この時期ガランとしているらしい。

パダンもそれなりに大きな町ですが、パダンからジャカルタやマレーシアなどに出稼ぎに出ている人も多く、そういう人が帰郷するため、パダンの町はそれなりに人がたくさんいました。

インドネシアのイード・アル=フィトルの渋滞

テレビでは各地の交通渋滞のニュースを流しっぱなし。帰郷する人たちです。長距離も親子でバイクで移動。たくましいですね。

またインドネシア人はこの休みを利用して国内旅行に出かけたりもするので、観光地はどこも混んでいます、そこまでの渋滞も激しい。この時期にインドネシアを旅行する人は、その点考慮した方が良さそうです。

イード・アル=フィトルの礼拝

インドネシアのイード・アル=フィトルの礼拝

イード・アル=フィトルの朝、Aさん宅の近くのモスクに地域の人が集まり、ラマダン明けの礼拝をします。その後はモスクのイマームの説教。

インドネシアのイード・アル=フィトルのイマームの説教

この日の話は、(今日とそれ以前に)集めたお金のその使い道について。モスクの修繕のため、孤児のために使われます。モスクではすでに孤児1人につき250,000ルピアを寄付したそう。

インドネシアのイード・アル=フィトル

訪問は年長者から

礼拝の後は、隣人を訪問しあいます。Aさんの奥様とモスクの近くの家を訪問。

左から2番目が、この家の主の75歳の女性。左が娘さん。イードの日はまず年長者の家を訪ねるのが、インドネシアのしきたりです。

インドネシアのイード・アル=フィトルのお菓子

テーブルの上のお菓子とお水。どこの家も、イードにはお菓子をたくさん用意して、来客をもてなします。「前はイードのお菓子もみんな手作りしていたのよ。でも今は店で買ってくる人が多い」とAさんの奥様。時代は変わるものですね。

インドネシアのイード・アル=フィトル

たっぷりの甘いお菓子とジュース。この日だけで2キロは体重が増えそうです。

インドネシアのイード・アル=フィトル

家に戻ると、Aさんたちが所属するジャマアのメンバーたちがたずねてきました。話題は、家族の小学5年生の娘さんが、コーランを全部暗唱したとかいう話。すごいです。

敬虔な方たちなので、みんなニカブで顔を隠しています。「ブラック・ウーマンズ・ミーティング」と楽しそうに称するAさんの奥様。でも男性たちが外にタバコを吸いに行くと、女性たちはさっと顔を出していました。

何歳からニカブをするのかというと、インドネシアの場合、決まった年齢はないそうです。「妻は夫にしか顔を見せないなら、彼女は夫にとって、とても魅力的な存在になる。夫が顔を見ることのできる成人女性は妻だけだからね。こうして夫婦の絆がとても強くなるんだ」とAさん。インドネシアにも、こういうことを言う人がいるのですねえ。

インドネシアのイード・アル=フィトル

来客がとぎれると、こんどはAさんたちが親戚をたずねる番。奥様にはパダンに親戚が数人いて、全ての家をこの日1日で訪問します。一番最初が、年長のお兄さんの家(上)。

どの家も、客間のテーブルの上にお菓子をずらりと並べています。食い意地が張っている私は、その都度つまみ食い。この日で2キロは体重がふえたでしょう。

インドネシアのイード・アル=フィトルの食べ物

さらにランチをいただきました。お姉さんが2日前にお兄さんのために持参したもの。右のご飯の上にのっているのが、「ルンダン」という西スマトラの郷土料理。お肉をココナツミルクなどとともに、じっくり長時間煮込んだものです。

Aさんの奥様には兄弟姉妹が5人いて、次から次へと兄弟姉妹が集まり、まあにぎやかなこと。

「以前はイードの時にカードを送っていたが、今はスマホでメッセージを送るようになってしまった。親戚や家族を訪ねたときでさえ、話をしないでスマホに夢中になっている」とさみしそうに語るAさん。

いつまでたっても話が途切れないAさんの兄弟姉妹たちを見ていると、この家族にはまだまだ古き良きインドネシアの習慣がしっかりと受け継がれているのだなあと、嬉しくなりました。

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