メイマンド *世界遺産「メイマンドの文化的景観」に残る数万年前からの洞窟住居。
イラン南東部のメイマンド村に2000年以上前からの洞窟住居があり、今も人が暮らしています。
村と周辺の放牧地が「メイマンドの文化的景観」として世界遺産に登録されました(2015年)。イランでは19番目の世界遺産です。
洞窟住居は400ほどあり、今も利用されているのは100くらい。
メイマンド村に暮らす人々は遊牧民で、2000年以上前から変わらない暮らしを営んでいます。
メイマンドの地図メイマンド (Maymandペルシア語: ميمند, )
イラン南東部にあるケルマーン州シャフレ・バーバク市から30kmの場所にあります。
メイマンドの洞窟住居
60代の夫婦の家を訪問させていただきました。中はかなり広く、7メートル四方くらいあります。
壁や天井はススで真っ黒になっています。家の中で火を焚くことで、その煙で天井を強くするのです。洞窟の家は冬は外より5℃暖かく、夏は5℃涼しいそう。ご夫婦は小麦、ぶどう、ナッツなどを育てているそうです。
村のモスク
モスクの中で礼拝をしている村民たち。
村で最後に掘られたのが、このモスクです。およそ200年前です。
岩の上に手織りのじゅうたんが直接敷かれていました。
伝統的な半遊牧生活
夏の家と冬の家
メイマンドの遊牧民たちは、昔から季節ごとに住居を変える遊牧生活を営んできました。春は草原の家、夏は標高の高い場所にある枝や木で建てた家、冬は洞窟住居で暮らします。メイマンド村の郊外の平原で伝統的な暮らしを営む遊牧民の夫婦を訪れました。夫婦は以前はメイマンド村に住んでいましたが、たくさんの家畜を飼えないので、ここに移って来たそうです。
飼っているヒツジの数は150頭ほどです。夏の家は、枯れ木を組み合わせた小屋。中には絨毯やゴザが敷かれていて、靴を脱いでその上にくつろぎます。
ヒューヒュー‥‥。枯れ木の隙間から涼しい風が通り抜けます。直射日光も遮断されているため、とても心地よいです。「だから扇風機なんかいらないんですよ」とご主人。この家を自力で2日で建ててしまったそうです。
一方、冬も家は石と土を固めてつくったもので、保温性ばっちりです。
保存食
「ゴルメ」という肉の保存食を見せてくれました。肉を細かく刻み、ヒツジの油でいためて塩を加え、ヒツジの胃袋の中に入れて保存したもの。こうしておくと1年はもつそうです。鍋に入ったゴルメを一口味見させてもらいましたが、とても美味しい!羊肉独特の臭みがたまりません。厳しい環境を生き抜く人々の知恵なのですね。
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