イスラム圏を旅する女性の服装
モロッコ、イラン、エジプト、トルコ、・・・イスラム圏を旅行したいけど、どんな服装がいいのかな?スカーフは必要?何か注意すべきことは?そんな疑問に答えます。
女性がイスラム圏を旅するのに理想的な服装
服装の基本は3つです。
①肌を隠す
②ボディラインを強調しない
③スカーフとチャドルは、もしあれば便利
以下、順を追ってご説明します。
①肌を見せない
イスラム圏では女性は肌を見せません。手と顔以外は布で隠しています。(→「女性は宝石」イスラムの女性が髪や肌を隠す本当の理由)
もちろん外人女性が全く同じ服装をする必要はありませんが、女性がみな肌を隠している中、肌の露出をしていると非常に目立ちます。
半ズボン、ミニスカートはもってのほか。半袖も避けるのがベターです。実際私の友人は半袖で歩いていたところ、地元の男性に触られました。ふだん女性の肌を見慣れない現地の男性には、半袖でも十分刺激的なのです。
それに中東の日差しは強烈ですから、素肌を日差しにさらさない方が逆に涼しいのです。
②ボディラインを強調しない
国にもよりますが、イスラム女性はアバヤやチャドルなどのゆったりした長衣を着ています。
「長衣を着て(体の線を見せないように)」というイスラムの教えがあるためです。(→「女性は宝石」イスラムの女性が髪や肌を隠す本当の理由)
ですから外国人じょせいとしては、下はふんわりしたロングスカートやだぼだぼのズボンが理想的です。
上の写真のカイロの女性たちは足の線が見えるジーパンをはいていますが、お尻は隠しています。またジーパンを履くような女性は、都市部などの若い女性に限られます。
③スカーフとアバヤはあれば便利
現地の女性はスカーフで髪を隠す方が大多数ですが、外国人女性はそこまでする必要はありません。ただモスクに入る時にはスカーフ着用が義務ですから、一枚あると便利です。スカーフはあればホコリよけにもなり、防寒具としても使え、寝癖を隠したりもできます。
かぶっていたほうが好印象を与えます。オマーンで会った現地男性は、「君は長袖長ズボンをはいていて素晴らしい。しかもスカーフまでかぶっている。私たちの文化を尊重している」と私のことを褒めてくれました。
アバヤは?
アバヤは国によっては、あった方がベターです。モスクに入る際にアバヤの着用が義務付けられている国もあります。アバヤはさっと羽織るだけで良いので、1枚あると便利です。
国別おすすめの服装
エジプト、チュニジア、モロッコ、トルコ
ふんわりしてお尻が隠れるくらいのトップス&ゆったり目のズボンやくるぶしまでのロングスカートでOKでしょう。カイロ、チュニス、カサブランカ、イスタンブールなどの大都市では、(冒頭の写真のように)足の線が見えるGパンやレギンスなどでも良いと思います。
イラン
イラン女性はチャドルを着ている人もいますが、外国人は必要はありません。若い女性は「Gパン&お尻が隠れる丈のコート」といった服装が多いので、それでもOKです。ただし外国人もスカーフ着用は義務です。
湾岸諸国(サウジアラビア、オマーン、UAE)
これらの国の女性はすべてアバヤとヒジャブ(スカーフ)着用です。外国人がUAEのアブダビやドバイ、オマーンを旅する場合は上記の基本の服装でもいいですが、アバヤがあるとベター。スカーフは必要ないでしょう。
サウジアラビアではスカーフはあった方がいいです。外国人観光客が少ないこともあり、外国人も地元女性にならってアバヤとスカーフが安全だと思います。
以下、こちらも参考に。
服装がイスラム圏の旅の楽しさを左右する
中東イスラム圏では、どんな服装で旅をするかで、そこでの体験が180度変わります。
オマーンのある村に行った時のこと。その村の男性に聞いた話ですが、私が来る前、イギリス人カップルが村に来たそうです。が、女性がタンクトップに半ズボンという格好だったため、村に入るのを拒否したそう。「自分たちの文化を屈辱しているから」というのが理由です。
イスラム社会では、肌を出さない慎み深い格好をしていれば、男性は女性としてリスペクトしてくれますし、乗り物の中で席を譲ってくれたりします。女性も積極的に話しかけてきたり、時には家に招いてくれたりします。
露出の多い服装では、人間性まで疑われかねず、セクハラにもあいやすい。つまりイスラム圏を楽しく旅行するには、服装マナーを守ることが第一なのです。
肌を隠すなんて暑い?
現地の女性は夏でも長袖です。「そんなの暑苦しい。半袖でいいわ」という気持ちはわかります。
でもいざ現地に行って、男性にジロジロ見られたり触られたりして、「やっぱりアラブの男ってスケベだわ」という貧しい感想しかもたずに帰国するのは、あまりにも寂しいのではないでしょうか。
郷に入っては郷に従え。他人の家へおじゃましたら、その家のやり方に従うように、他の国へ行ったら、その国の習慣や考えを尊重するのはマナーです。たとえ自分の趣味嗜好に合わなくとも。
それが楽しく旅する秘訣ではないでしょうか。