海外で足首を捻挫*早く確実に治すために現地でやるべき最低限のこと。
今年2月、中東の国オマーンで足首を捻挫してしまいました。左足を内側にひねって着地した「内反捻挫」です。
全治6ヶ月。なかなか大変でした。捻挫は骨折よりタチが悪いというのは本当ですね。
捻挫は「捻挫グセ」という言葉があるくらい、処置をちゃんとしないと繰り返したりします。
でも海外では、なかなか適切な処置が難しいものです。
海外で捻挫してしまった場合にできること・やるべきことを、経験をもとにお伝えします。
海外で捻挫してしまったら、やるべきこと
この3つを適切な時期に行います。捻挫は靭帯の損傷をしていることが多いので、それを治すためです。
①RICE処置
②ギプスなどで直角に固定
③リハビリする
①〜③を詳しく説明します。
●「①RICE処置」とは?
RICE処置は足首捻挫をしてしまった場合の、基本中の基本です。
・Rest(安静)
・Icing(冷やす)ー患部の毛細血管が収縮し、腫れや内出血をおさえる。
・Compression(圧迫)ーテープなどを巻いて圧迫。腫れや内出血をおさえる。
・Elevation(挙上)ー患部を心臓より高い位置に保つ。血液が心臓に向かい、内出血による腫れを防ぐ。
●①と同時に「②固定」をします。
ギプスでガッチリ直角に固定するのが良いです。ギプスしてもらえない場合、包帯やサポーター、テーピングなどで固定します。
この時大事なのは、足関節を90度に固定すること。靭帯が伸びてしまっているので、それを治すには直角がよいのです。
固定ができない場合は、安静にしているのが良いです。
(ここでの安静は、絶対安静ではなく無理し過ぎないという意味です。)
私は捻挫が初めてで知識がなく、この固定がしっかりしなかったのが長引いた原因の1つだったと思います。
●②から③に移る時期も大事です。
早すぎると靭帯の修復が終わっていないのに動かしてしまい、捻挫グセなどを残します。
逆に長過ぎても関節が硬くなって治りにくくなってしまいます。
適切な時期を判断するのが難しいです。そのためにできれば足専門の整形外科に診てもらうのが良いでしょう。
海外では難しいので、自分で症状を見極める必要があります。軽い捻挫なら1週間、重度の場合は2週間くらいでしょうか。
受傷から帰国までの経過
ここからは、捻挫した様子や帰国までの経過を少し詳しくご紹介。
【受傷当日】
場所はオマーンのスールというアラビア海に面した南の町です。
スマホのグーグルマップを見ながら歩いていたところ、目の前の段差に気づかず、左足をひねって着地。おもいっきり左足を内側にねじってしまいました。
その激痛たるや‥。立ち上がることも歩ることができず、その場に座り込んでしまいました。
そこに通りかかったパキスタン人に車を呼んでもらい、ホテルに送ってもらいました。
(タクシーではなく、普通の人が車にのせてくれました。中東・オマーンの人は本当に親切ですね)
車を降りても歩けないため、ドライバーが従業員を呼んでくれ、彼らに抱き抱えられて部屋へ。
RICE処置
ベッドに横たわっていると、フィリピン人従業員がビニール袋に入った氷を持ってきてくれました。
なぜ氷?と思いました、後になってこの処置は正しかったことを知ります。(さすが、フィリピン人!)
上記のとおり捻挫にはRICE処理が常識だからです。
すぐに病院に行きたかったのですが、ドクターがくるのは午後4時とのこと。(その時午後1時)
横になって足を冷やしましたが、痛みはおさまらないどころか、逆にひどくなってきます。しびれも出てくる。
ああ、一体どうなってしまうんだろう‥。
ただ腫れはそれほどでもなく、くるぶしの前がぷくっと膨れたくらい。(これはすぐに冷やしたのがよかったのかも)
それを見たホテルのオーナーが「大丈夫。骨折していたら、もっと足はふくれるから」と。それでちょっと安心しましたが。
●病院は前払い
①BADR SAMAR HOSPITAL
まず向かったのは、こちらの病院です。現地人も外国人も値段はあまり変わらないそうなので。
が、なんとレントゲン技師がお休み。
しかたなく②へ。①よりかなり高いとのことですが、しかたありません。
②Ministry of Health, Sur Hospital
かなり大きな病院でした。近隣の手に追えない患者が運ばれてくるそうです。
病院に到着し、ドライバーが車椅子を用意してくれて、それに乗って診察室へ。
ああ、情けない‥。左足は地面に着けるだけで激痛が走り、サンダルも履けません。
受付で「治療するには、47リアル必要(約13,000円)」と言われました。
(登録料7リアル、デポジット40リアル)
デポジットは、実費を引いた分が後で返却されるそう。
しかし受け取るには、再度病院に来る必要が。というのも、この日は木曜日でキャッシャーが休み。金、土は病院が休み。なので日曜日以降でないと受け取れないのです。
オマーンでは、おちおち週末にケガできませんね。
*
レントゲンをとって幸い骨折はしていませんでした。
「2、3日はおとなしくして、その後は普通に生活してかまわない。心配ないよ」とスーダン人ドクター。
女性看護婦が包帯を巻いてくれました。
固定のためと思いますが、かなりゆるゆるで固定の意味をなしていないような‥。
彼女に「捻挫したことある?」ときくと、「数回捻挫したことがある」と。
(それって捻挫グセじゃない?)と思ってしまったのだけれど。
痛かったのは保険に入っていなかったことです。私はめったに海外でケガや病気にならないので、油断してました。
その日の夜は、枕を重ね、その上に足を乗せて寝ました。
【2日目】
痛み止めのせいもあったのか、明け方にはだいぶ痛みがやわらいでいました。
包帯をはずしてみると腫れもだいぶひき、両足の見た目はほぼ変わらないくらいです。
左足に重心をかけないようにすれば、なんとかびっこをひきつつ歩けます。
しかし普通に足を地面に乗せて歩こうと、かなり痛いです。足ってかなり大きな体重を支えているんですね。
「2、3日はおとなしくして、その後は普通に生活してかまわない」という話でしたが、今後どうするか?
予定では旅を続けることになっていましたが、普通に旅行するには不安が残ります。
ドクターは「普通に歩いて心配ないよ」と言っていましたが、やはりちゃんと日本で見てもらいたい。
接骨院を営む友人に、今後のことをメールで相談してみました。
ー今海外旅行中です。外を歩いていて、目の前の段差に気がつかず、左足を内側にひねって着地し、捻挫してしまいました。激痛で、すぐに病院に行ってレントゲンをとり、骨折はありませんでしたが‥
(友人)「重度の捻挫ですね。まずは日は冷やして固定して安静してください。安静にできなければ包帯でガッチリ固定して移動してください。
4日目以降も冷やして固定を続ければ2週間でなんとかなるでしょう。原則として2週間程度は安静が良いと思います。まだ受傷部分が修復をしているので。
ーなぜ固定が必要なんでしょう?固定していると血流が悪くなって、逆効果のような気がします。
「靭帯を損傷しているので固定が必要なんです。血流うんぬんはもっと捻挫が良くなったら、です。
固定をしないで運動してしまうと、いわゆるクセになったりします。
捻挫は靱帯という関節を繫ぎ止めているスジの損傷のことですから、関節を動かしてしまうとスジの回復が悪くなるんです。
出来ればギプス固定(キャスト材固定)で1~2週間は安静が良いと思います。」
ー2週間もホテルに安静にしてられないんですよねー。何時ごろ帰国したらよいのでしょうか?
「帰国は完全に歩行痛が取れてからというよりも、少し歩行痛が軽減したらで良いでしょう。」
ー今から少しずつリハビリとかした方がいいんですか?(ネットを見ると、けっこうリハビリを早くした方がいいという情報があったので。)
それはスポーツ選手の場合ですよ。一般の人は、もっとのんびりしつつ、しっかり靭帯の修復をした方が良いです。
(うーん‥ドクターの言うことと、けっこう違うなあ。しかしここは大事をとった方がよいのかも。)
というわけで、数日は部屋の中だけで生活していました。
幸い海が見える部屋で、気分が滅入らずにすみました。
食事は従業員にすべて運んでもらいました。朝食はホテルのレストランから、昼食・夕食は向かいのレストランから。
ちなみに宿泊していたホテルの従業員は全てフィリピン人でしたが、とっても親切な人ばかり。「生姜のすりおろしをちょうだい」とか、「レモンちょうだい」とか、ずうずうしいリクエストにも、いやな顔ひとつせず、気持ちよく応じてくれました。
【4日目】病院再訪
足の甲のふくれている部分を押すと、ほとんど痛みを感じなくなりました。その代わり、左足をかばうように歩いているため、腰が痛くなってしまいました。
先日のデポジットを返してもらうついでに、先日のスーダン人医師がいたので、また相談。
この時期、なるべく動かした方がいいのか、じっとしていた方がいいのか、わからないのが一番困ったです。
「もう普通に動いて良いのでしょうか?」
(ドクター)「今痛いのは、1から10までのどのくらい?」
「5くらいです」
「でも心配ないよ。今キミは歩けるでしょう?』
「でも正常には歩けませんよ。今はなるべく動かした方がいいんですか?それともじっとしていた方がいいのでしょうか?」
「痛ければ、動かさなくてもいいよ。そうでなければ普通に歩いて良い。君の症状は軽いからね」。
「どうして軽いってわかるんですか?」(と、やや食ってかかると)、
「こういうケースたくさん見ているから」
「靭帯損傷(ligament injury)ではないんでしょうか?」
「それはMRIをとってみないとわからないですね」
「そうでしょ?わからない状態で、動かしていいの?」
「‥‥」
ドクターは困った様子。
しかし、このドクターの言うことも、あながち間違いではなかったかも。
皮膚の表面の擦り傷などなら、どんな状況かがわかるのですが、足の中は見えないので困ります。
ドクターのすすめで、アンクルサポートを買いました。起きている間は、これをつけていました。
【1週間目】帰国
十分な安静がとれたのかわかりませんが、帰国することに。
・スールからマスカット空港までタクシー
ホテルからマスカット空港まで25リアルでした(約7千円)。
・ドバイ国際空港にて車椅子で乗り換え
車椅子の補助が必要な場合、こちらから手配ができます。
私はこのサイトでうまく手配できず、マスカットのチェックインカウンターで申し出ました。
トイレに近い席を希望したのですが、それは難しかったです。
また私は英語力がないので、あらかじめ考えておいた英文をノートに書いておき、当日チェックインカウンターで見せました。
My left foot is sprained.
(私の足は捻挫しています)There is no fractures, I can hardly walk, but have difficulties to walk.
(骨折はありません。なんとか歩けますが、困難でもあります)Could you arrange the seat for me easy to get on and off and go to toilet and so on?
(トイレに近い席をお願いできますか?)
ドバイの空港に到着したら、ちゃんと車椅子が待っていました。
特別な待合室に連れてこられて、東京行きの搭乗時刻まで待機。
【海外で捻挫してしまった時の注意事項】
というわけで、海外で捻挫してしまった時のために覚えておいた方が良いことをまとめます。
・すぐにRICE処理。
・その後、サポーターやテーピングなどで固定。
・病院は前払いが多い。多めの現金かクレジットカード、パスポートを持参。
・海外旅行保険に入っておく。
そして歩きスマホは絶対にやめましょう!
この後、帰国して日本で治療を続けたわけですが、色々迷走してしまい、完全に治ったと実感できるまで6ヶ月かかってしまいました。その話はまた後日に。
海外で捻挫してしまった方の参考になれば嬉しいです。