2016-01-25

パキスタン女性インタビュー(2)*イスラム商工会議所・事務総長補佐

パキスタン女性

イスラム商工会議所(Islamic Chamber of Commerce)事務総長補佐をされているアティヤ・ナワジシュさん(54歳)にお話を聞きました。

イスラム商工会議所とは

イスラム商工会議所は、イスラム協力機構(OIC)の関連機関です。OICがイスラム諸国間の政治的な分野での業務を行うのに対し、経済分野での協力を目的につくられたのが、この組織。77年に設立されました。

オフィスは、カラチの中心部にある畏怖堂々とした建物の中。建物の2階にある彼女の部屋は、広くゆったり。ここの職員は25人。うち女性は彼女1人だけです。

仕事は、新たな市場や投資を見つけたり、イスラム諸国の女性実業家の間でのネットワークを構築したりすること。組織に参加したのは、1980年。組織ができたばかりの時でした。

幼少期のころ

「カトリック系の学校で学びました。授業はすべて英語です。すごく厳しい学校でした。授業中にミスをしたら母親にすぐに連絡が行き、母親も叱られました。

両親は保守的で、軍人だった父親は、いつも「ベストの成績を残せ」と言われて育ちました。母は勉強には厳しくありませんでしたが、「イスラムの女性として、どういう服装をすべきか、どう振る舞うべきか」について、とても厳しかったです。

IBA(Institute of Buisiness Administration)を卒業し、働いている知人の紹介で、この組織に参加しました。フランス語ができて、経済の知識がある人を探していたので。

母親は「女性は働くべきではない」という考えで、私が働くことにも反対でした。ここに就職が決まったとき、オフィスに見に来ました。どんな場所で、どんな人たちが働いているのか心配だったからです。中をみて安心して帰っていきました。

イスラムと結婚

-結婚はされていますか?

「4年半前、50歳の時にしました。その年まで結婚しなかったのは、仕事に集中したかったからです。彼とは30年来の知り合いです。もともと友人を通して知り合い、グループで出かけたりしていた仲です。お互い初婚です。この国ではとてもまれなケースです。でも私はかたく信じていました。「私たちが結婚すべき時期がきたら、きっと結婚するだろう」と。

-パキスタンでは、女性は結婚が早いですね?

「私たちの社会は「早く結婚したほうが良い」という考えです。でも両親は「何かやるべきことがあり、それに集中しているのなら、すぐ結婚しなくてもいい、準備ができたときに結婚すればよい」という考えでした。イスラムは、こう教えています。「すべての物事には適した時期がある。すべてのことはそれによって起こる」と。私たちの結婚もそうです。しかるべき時に結婚したと思う。だから結婚すると決めてから、2ヶ月で結婚しました。」

遅い結婚のメリット

パキスタン女性

-遅い結婚のデメリットは?

「すべてのことには、メリットとデメリットがあります。「早く結婚すべき」というのは、やはり正しい。結婚に順応しやすいですし。一方で年をとってからの結婚は、世界を見て、男性を正しく判断するチャンスがある。自分が成長しているからです。ただ周囲の人に「どうして結婚しないの?」とさんざん聞かれることだけが悩みのタネでした。「一人では暮らしていけないわよ」などと言われて。私は正しい時期がくれば結婚するすればいいと思っていたから、「その時が来たらするわよ」と答えていました。」

-ご主人は女性が仕事をすることに賛成ですか?

「彼は元パイロットで、私の仕事にとても協力的です。私は月1回は海外出張がありますが、私が時に行きたくないこともあっても、「これは君の役目だ。行って、しっかりと問題を見なければならない」と言います。私たちはお互いにとても尊敬しあっています。」

-将来の夢は?

「健康で平凡な毎日が送れたらよいと思っています。そして人を助け、よいムスリム(イスラム教徒)でありたいと願っています。」

 

【参考図書】

イスラーム ヴェールの向こう

20年間にわたり取材したイスラム女性たちのリアルな日常を紹介。モロッコ、チュニジア、エジプト、イラン、パキスタン、モルディブ‥‥。歌あり踊りありデートあり。「抑圧」などメディアによって作られたイメージと違う、生き生きした女性たちの実像を紹介します。

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