パキスタン女性インタビュー(3)*投資銀行最高経営責任者
Pak Brunei Investment Companyという投資銀行会社の最高経営責任者アイシャ・アジズさん(42歳)のインタビューです。
この会社は、パキスタンとブルネイの政府間の合弁事業として設立された投資金融会社。両政府が50%ずつの株式を持っています。パキスタンには6つ投資金融会社があり、その中で最も利益を上げている会社です。
アイシャさんはInstitute of Business Administrationを22歳で卒業。その後20年間、銀行やファイナンス分野で働き、この会社に勤めて4年半になります。
海外に行ったら婚期をのがす
「両親は私が大学を出てすぐに結婚させたがっていました。でも自分で働いて自由になるお金がほしかった。だから何年か働いてから結婚することにしました。
最初の職場はANZというオーストラリアの銀行です。トレーダーでした。そこで10年間必死で働き、認められてロンドンに派遣されました。この時も母親は「海外なんかに行ったら結婚が遅れてしまうわ」と反対でした。でもこれは私にとってャンス。母親の反対を押し切って渡英しました。」
ヘッドハンティングされて
「そのままロンドンで会社の奨学金で勉強を続けることもできましたが、8か月で帰国しました。家族と離れて暮らすのはさみしく、今の夫と付き合ってもいたからです。
ANZでの働きぶりが評価され、Pak Oman Investment Companyにヘッドハンティングされました。当時設立されたばかりの会社です。そこで5年間。子会社の設立や運営に関与し、新たなことをどんどんやって会社の業績向上に貢献しました。
そしてこのpakburneiが設立され、政府がマネジングディレクターを募集していたので応募しました。過去の実績が評価され、採用されました。」
職場の同僚と結婚
26歳で結婚しました。私はパターン人で、彼はラホール出身。両親は同じパターン人の男性と結婚させたがっていました。
知り合ってから婚約まで1年。住まいが近くだったため、結婚前からいっしょに出かけたりしていました。でも一緒にディナーに行ったのは婚約してから。両親が心配するからです。会社への送り迎えくらいは、婚約前からしてもらっていました。
夫は今、別の銀行で働いています。私の仕事にとても協力的です。妻が働くのを好まない男性も、ここでは確かに多いです。ただ物価が年々上昇しているので、妻が働いてくれたら助かると思っている男性もたくさんいますね。」
家計の分担
収入は私の方が上です。夫はそれについては、まったく気にしていません。家計は彼の収入でまかなっています。それがイスラムの教えだからです。私が出張中は子どもの宿題を手伝ったりと面倒を見てくれます。私が働き続けられるのも、彼や彼のお母さんのサポートがあってこそ。2人の息子とも、働く母を尊敬してくれています。近々、この職場に託児施設をつくりたいと思っています。
20年間にわたり取材したイスラム女性たちのリアルな日常を紹介。モロッコ、チュニジア、エジプト、イラン、パキスタン、モルディブ‥‥。歌あり踊りありデートあり。「抑圧」などメディアによって作られたイメージと違う、生き生きした女性たちの実像を紹介します。
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