イスラムのセックスや性生活のルール。体位に決まりはある?禁止事項は?
イスラムでは、夫婦の性生活について、どんなルールを定めているでしょう?禁止されてる性行為などはあるのか?そんな疑問にわかりやすくお答えします。
イスラムにおける性
イスラムでは「性」はとても大切なもの・神聖なものと考えられています。それが証拠に、コーランには性や夫婦生活に関する内容が多く記載されています。
「妻はあなたがたの耕地である。だから意のままに耕地に赴け」(コーラン2:233)とありますが、これは「体位は自由」という意味です。
ほかにも「夫の求められたら妻は拒んではいけない」、「生理中の夫婦生活はどうするか」などといった記述があります。性と俗を分けないのがイスラムの最大の特徴なのです。
夫婦の性は「善行」
イスラムにおいて夫婦の交わりは「善行」です。夫婦で仲良くすることは天国に近づく行為です。
「自己の配偶者との交わりもサダカ(善行)である。と申された。教友達は「アッラーのみ使いよ、誰かがただ性欲を満たすために行っても報酬はあるのですか」といった。(途中略)もしそれが正当に行われたとすれば彼には当然報酬がある」と申された。(『サヒーフ・ムスリム』)
イスラムでは人間の欲望を認め、それを満たすことを奨励しています。ただその欲望を際限なく認めてしまうと、レイプや未婚の母など社会秩序を乱すことになる。そのため「夫婦間だけ」というルールを設けたのです。
関係は夫婦間だけ
夫婦以外の関係は禁止です。婚前交渉や不倫は「姦通」として厳しく禁じられています。(*イスラムで禁止されていることは?)これはイスラムが「家族」に価値を置いているためです。
コーランでは結婚前は自制せよと説きます。
『男の信仰者たちに言っておやり。慎み深く目を下げて(女をじろじろと眺めない)、陰部は大事に守っておくよう(不倫な関係に使わぬよう)』(24:30)
そして性欲を満たすために結婚しなさいと。
『若者たちよ、汝らの中で妻を養える者たちは結婚するべきである。なぜなら、それによって女性に目をやることがなくなり、貞節を保てるからである』(『ブハーリーのハディース』)
このように夫婦生活は結婚生活の中の非常に重要なパートなのです。
性交は権利であり義務
夫婦生活は重要であるため、夫も妻も夜の営みは義務とされます。(*イスラム教の結婚ルール)
どちらかが相手の要求に長期に応じない場合、離婚の正当な理由になります。また妻が夫との間で性的な喜びを十分に味わえない場合も同様です。
おたがいに性の歓びを享受する権利がありますから、夫は妻の満足にも気を配らなければなりません。
『妻とすぐ交合しようとするのではない。あなたと同様に、彼女も性的に興奮するまで待つのである。」ある男が尋ねました:「アッラーの使徒よ、それにはどうするべきでしょうか?」彼は答えました:「口づけしたり、体に触れたりして、性的に高揚させよ。そして彼女があなたと同様に準備の出来た状態になったら、交合に入るがよい』(『アル・ムグニーのハディース』)
妻も夫から誘いを受けたら断るべきではないとされます。ただ体調の悪い時はこの限りではありません。
『夫が妻を寝床に誘っても彼女がそれに応ぜず、彼が怒りの中にあるままその晩を過ごすとしたら、天使たちはその夜が明けるまで彼女を呪い続けるであろう』(『サヒーフ・ムスリム』』)
体位は自由
体位に何か決まりがあるのでしょうか?コーランには、こう書かれています。
『妻はあなたがたの耕地である。だから意のままに耕地に赴け』(2:233)
これは「性行為の方法や体位は自由」という意味です。「妻の体は農地」という牧歌的な表現に、イスラムのセックス観が垣間見れます。
肛門性交
「体位は自由」ですが、「膣にたいしてのみ行われなければならない」とハディースに明示されています。(『サヒーフ・ムスリム』)
性交が禁止される期間
①ラマダン期間の日中
ラマダン期間中は、日中の飲食だけでなく性生活も禁止です。
『断食の夜、汝らが妻と交わることは許してやろうぞ。彼女らは汝らの着物、汝らはまた彼女らの着物。アッラーは汝らが無理しているのをご承知になって、思い返して、許し給うのじゃ。だから、さあ今度は。彼女らと交わるがよい、そしてアッラーがお定めくださったままに、欲情を充たすがよい』(2:183)
ただし日中でも、キスや抱擁は許されています。
『サウム(断食中)、(妻たちと)キスしたり接触を持ったりしました。そして彼はあなた方の中で、最も自制心のお強いかたでした』(『アル・ブハーリーとムスリムのハディース』)
②妻の生理中・出産直後
妻の出産直後や生理中に交わることは禁止されていますが(2:222)、愛撫などはかまいません。
「預言者の妻の一人マイムーナは、こう伝えている「アッラーのみ使いは月経中の妻たちに対しては、彼女らの腰巻の上から抱擁された」(『サヒーフ・ムスリム』)
避妊の方法
コーランには避妊を禁じる章句はなく、「性交中断」は古くから認められてきました。イスラム圏ではコンドームも薬局に売られています。ただあまり人気はなく、避妊手段はピルやリングが主流のようです。
一夫多妻の夫婦生活
イスラムでは男性は4人まで妻をめとることができます。ただし妻たちを平等に扱うのが条件です。夫婦生活もです。
『女性のところには四日ごとに行くのが望ましい。それが公平である。妻の数は四人だから、この程度の遅れは許される。彼女を守るために、彼女の欲求に応じて増減することが望ましい』
夫婦の愛と絆を深める力
イスラムでは人を欲望を持つ存在だと認め、その欲望を容認するため、性生活についても細やかに指示しています。
だからといって野放図に性欲を満たすことは認めない。主に社会秩序を守ためです。そのため一定のルールを設けています。「夫婦の間ですること」「相手にお互いに思いやりを持って接すること」。
性を大切なものと考えるからこそ、夫婦という「安定した関係の中で」楽しむことを勧めたのです。
イスラム社会では誰とでもセックスする自由はありません。しかしそのために夫婦間の愛と絆を深める力が働いているのです。
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