モロヘイヤ・スープの作り方*エジプト家庭料理の代表格
クレオパトラも愛用したと言われる健康食品モロヘイヤ(写真中央の緑のスープ)。日本ではお浸しにしたりしますが、エジプトではスープにします。モロヘイヤスープは、エジプトで最もポピュラーな家庭料理。エジプトのマダムに教えていただいたモロヘイヤスープの作り方をご紹介します。
モロヘイヤスープの作り方:概略
【モロヘイヤスープの作り方】
①モロヘイヤの葉っぱを細かくする。
②チキンやウサギの肉を煮てスープを作る。
③スープを塩、カルダモンなどで味付けする。
④モロヘイヤの葉っぱを入れる。
⑤つぶしたニンニクをギーで熱し、キツネ色になったら、ニンニクと油をスープに入れる。
⑥塩やコリアンダーで味をととのえる。
モロヘイヤスープの作り方:詳細
①モロヘイヤの葉っぱを細かくする。
モロヘイヤの葉を細かくみじんぎりにし、粘り気がたっぷり出たものをスープに入れます。エジプトでは上の写真にあるような半月状の専用の包丁を使います。乾燥したモロヘイヤの葉も売られていますが、生の味にはかないません。
②肉を煮てスープを作る
出汁の肉はチキンなども使われますが、エジプトではウサギの肉の味が最高と言われています。ビーフやチキンも使われます。肉を入れた後、塩、カルダモンなどで味付け。
③モロヘイヤの葉を入れる。
④つぶしたニンニクをギーで熱し、キツネ色になったら、ニンニクと油をスープに入れる。
ニンニクをつぶします。エジプトで使われているのは真鍮の器具。
エジプトで使われているギー(上写真)と、その分量(下)。ギーは発酵無塩バターを煮詰めたものです。その過程で水分、タンパク質、糖分などを取り除いています。つまり純度が高いオイル。そのためバターより腐りにくい。常温保存が可能です。風味や味はバターと変わらないので、私は長い間バターだと思っていました。
ニンニクがキツネ色になったら、そこへモロヘイヤスープを注ぎ込みます。
家庭によってはモロヘイヤスープの中に、ギーで炒めたニンニクを入れることもあります。
エジプト人はモロヘイヤ・スープをごはんにかけて食べます。何杯もおかわりしてしまうほど絶品の家庭料理です。
緑黄色の王様・モロヘイヤ
モロヘイヤは緑黄色野菜の中でもずば抜けて栄養価が高いことから、「緑黄色の王様」ともいわれています。
(出典:良好倶楽部)
このほか「ビタミンKはパセリ、しそに次ぐ3位の含有量、カルシウムは野菜平均の約4倍以上、β-カロテンの含有量は野菜の中で「しそ」に次いで2位だそうです。
モロヘイヤを日本に伝えた日本人
日本に初めてモロヘイヤを紹介したのは、日本人で初めてアズハルを卒業したアラビア語学者・飯森嘉助氏と写真家の小松義夫氏でした。その2人が「日本モロヘイヤ協会」をつくり、普及活動をしたそうです。写真家の小松義夫氏に日本にモロヘイヤを広めた時の話をお聞きしました。
ーなぜ協会を作ってまで普及しようとなさったのでしょう?
飯森さんは大学でアラビア語を教えていても、アラブについての日本での関心が高まらないという壁を感じていたそうです。それで食からやってみようと普及活動を始めました。彼はアズハル大学で勉強していましたが、豊かではなかったエジプトから奨学金をもらっていた。その恩返しの意味もあったそうです。1960年代初めは日本も貧しかったですが、エジプトはそれに輪をかけて貧しかった。1964年に誰でもパスポートは取れるようになりましたが、持ち出し外貨は500ドルだけでした。パスポートもマルチプルではなくて目的国だけのものでした。
ー普及は大変だったのですか?
そうですね、最初のうちは。でも栄養価が高いことがわかって、これなら農家の人が儲かるということで間作として栽培をしてくれるようになりました。長野県佐久農協と女子栄養短大がモロヘイヤの栄養価の成分を分析して、「分析が間違ったのか」と再分析したほどミネラル分などが多かったのです。それに麻の一種なので栽培は容易で成長も早いです。日本で手に入らなかったときはカイロで乾燥モロヘイヤを買ってきて子どもたち(娘と息子)に食べさせていました。彼らは大好きでした。カイロの乾燥モロヘイヤは砂が入っていて鍋の底に溜まるのです。野趣豊かでした。 モロヘイヤはホウレンソウと同じく微妙にシュウ酸があるので、神経質な人は一度煮て水洗いする人もいますねが、シュウ酸はそれはそれでおいしいのです。
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