アーブグーシュトと若いカップル*イランの暮らしとごはん
イランで最もポピュラーな家庭料理、伝統料理の「アーブグーシュト」。ジャガイモとヒヨコマメ 、肉をトマトベースで煮込んだ料理です。イランの若い夫婦の家庭に滞在させていただき、「アーブグーシュト」の作り方を教えていただきました。
ILDKのコンパクトなアパート
家族が暮らすのはコンパクトなILDKのアパートです。私がおじゃましたイラン人の家の中ではこじんまりした方でしたが、若いカップルには十分くらいの広さがありました。個室はあるものの、寝るのはもっぱらリビングで。イランの家庭はリビングがとても広いのですが、そこで食事をしたり昼寝をしたり、夜寝たりと多目的に使われます。
キッチンにはカウンターがあって、そこで奥様が料理している間、ご主人がコーヒーを淹れてくれたり。
調味料を入れた容器。その前にあるのはアーブグーシュトに使うトマトペーストです。
冷蔵庫は韓国製です。イランの冷蔵庫はドア部分に給水器(と呼ぶのが適当なのでしょうか?)がついているものが多いです。
アーブグーシュトの材料(2〜3人分)
・骨付き羊肉(モモ肉) 約750g
・玉ねぎ ・・・1個
・ヒヨコマメ 、白インゲン豆・・・2カップ(数時間、水に浸しておく)
・じゃが芋 ・・・5個
・トマトペースト ・・・大さじ3杯
・ターメリック ・・・小さじ1~2杯
・シナモン ・・・少々
・塩 ・・・少々
・コショウ ・・・少々
ここではヒツジ肉を使っていますが、イラン人はチキンを使うことも多いです。
アーブグーシュトの作り方
・あらかじめヒヨコマメを水にひたしてやらわかくしておく。
材料のタマネギ、ジャガイモを切る。この家ではまなを使わず、両手で器用に刻んでいました。
・圧力鍋に油をしき、冷凍肉とタマネギをいためる。
・水を加え、サフラン、ターメリック、赤唐辛子などで味付け。
・ジャガイモ、ヒヨコマメを入れる。
・トマトペーストを加え、水を入れた後に乾燥野菜と塩、コショウを入れる。
・30分ほど弱火で加熱。
子煩悩なご主人
奥様が料理している間、ご主人は息子さんを膝の上に乗せてあやしたり。目を細めながら「子どもはいいよ」を繰り返します。結婚して4年、息子さんは2才になったばかりです。私に「子どもはいるの?」と聞いて、いないというと、「どうして?」と心の底から悲しそうな顔をします。日本人ならいきなりそういう質問はしませんが、結婚したら子を持つのが当たり前のイラン人にとって、思わず口をついて出てしまう疑問なのでしょう。
食前にザクロをいただきました。
アーブグーシュトとパンをまぜて
絨毯の上にソフラ(料理を並べる布)をしき、買ってきたパンを広げます。パンはインドの「ナン」と似ていて、直径40センチくらいの丸いパンです。イランのパンは酵母菌を使わないので、平たい形をしています。
付け合わせはヨーグルトと生のタマネギ、生のハーブ野菜です。タマネギは直径3~3センチと小ぶりで、生のままかじってもおいしい。生野菜の中にはニラもあります。
スープをすくって口に入れてみます。不思議とヒツジ特有の臭みはほとんどありません。ご家族はパンをちぎってアーブグーシュトに入れて食べます。試しにやってみると、パンがスープを吸ってスポンジみたいになり、口の中でじゅわーっとしぼんでいき、なんとも言えない味でした。
ありがとうございました!!
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