ミルク粥と野菜入りオムレツ*イランの暮らしとごはん
イランの家庭のご紹介です。ご夫婦と息子さんの3人暮らし。家は二世帯住宅で、2階にご主人の両親が暮らしています。近所にはたくさん親戚が暮らしていて、お隣は奥様のお母さんと弟さんの家。ご夫婦も親戚同士です。
いとこ同士の結婚
「主人はいつも食器洗うのを手伝ってくれるのよ」と奥様。結婚は26歳の時。ご主人はいとこで、9才年上です。「彼が結婚したいといった時、私の父は年がはなれているからって反対だったの。でも私も彼のことを気に入っているのを知って、最後にはOKしてくれたわ」
(いとこ同士の結婚については、→中東アラブの結婚事情 |まず婚約・ぼう大な持参品・いとこ婚)
共働き夫婦の忙しい毎日
ご夫婦は共働きで、同じ会社に勤めています。2人とも毎朝5時半に出勤。朝ごはんは会社で7時くらいに食べるそうです。ランチも会社で。帰宅は夕方5時半くらいです。
息子さんが午後2時に学校から帰るので、夕方までお隣の母親の家で預かってもらいます。子どもを両親などに預けられない家は保育園に預けることもあるそうです。
うらやましいくらい広い寝室。床にはイラン産の絨毯が敷き詰められています。
バスルームには洋式のトイレと和式のトイレが。もともとイランの方々は和式のトイレを使ってきたので、ゲストの中には洋式が使えない方もいらっしゃるでしょう。2つあるのは助かります。
シャイだけど、目がくりっとした可愛らしい男の子でした。
勉強机の隣には本棚。ノートや教科書がたくさん詰まっています。
室内に色々な果物を干しています。いちじく、りんご、ぶどうなど。家の北側の直射日光が当たらない場所です。「直射日光に当てない方がゆっくりと乾燥するから、甘みが増すのよ」と奥様。なるほど。日本に帰ったらマネしてみます。
ミルクがゆの朝ごはん
朝ごはんはミルクがゆをいただきました。キッチンの床にソフレ(食事を並べる布やビニールシート)をひいて。キッチンは畳10畳分くらいの広さ。洗濯機もあります。料理しながら洗濯もできて便利ですね。「今欲しいのは食洗機」と奥様。
時間をかけてやわらかく煮込んだミルク粥は、とてもやさしい味がしました。
上部の戸棚の中には、おさまりきれないほどの食器が。「イランの家は来客が多くて、よく大きなパーティもするから、沢山のゲストのためにこれくらいは必要なの」とのことです。(→イランの暮らしが日本と違いすぎて面白い!)
冷蔵庫2つに冷凍庫
冷凍庫の中を見せていただきました。食材でいっぱいです。夜遅く突然お客が来る時もあり、そういう時にも食事を作って出すのだそう。イラン人は大の「もてなし好き」(→イラン人はどんな人たち?)。そんな時間に食材を買いに行けないので、冷凍庫が必要なのです。
イランのオムレツ「クク・サブジ」
この日はピクニックに出かけるので、ランチに食べる「クク・サブジ」を作ります。「クク」はペルシャ語で卵、「サブジ」は野菜。つまり野菜のオムレツです。野菜がたっぷりと入っているので厚みがあり、オムレツというより「キッシュ」に近いかもしれません。数種類の野菜を使って作るので、とてもヘルシー。イランの家庭料理の定番です。
まず冷凍してあった野菜を解凍します。イランの場合、料理に使う野菜は冷凍してあるものを使うことがほとんどです。そして卵をといて、その中に野菜、塩、コショウを入れて混ぜ、フライパンに油をしいて焼きます。
イラン人はピクニックが大好き
ピクニックの前に町の郊外にある屋外マーケットで買い物。ランチでいただくフルーツを購入します。たくさんの野菜や果物が売られていました。
木陰でピクニック。イラン人はとにかくピクニック好き(→イラン人はどんな人たち?)。食べていると、近くに住む村の人がやってきて、雑談に加わります。写真右に見えるのが、マーケットで買ったメロン。フットボールのような形をしています。日本のメロンよりも甘味は少ないものの、さっぱりとした味でした。
ランチには朝作ったククサブジやパン、ご飯(左の鍋)をいただきました。面白いことに、ごはんも「おかず」なのですよね。
ありがとうございました!
【「イランの家めし、いただきます!」】
世界一周した人に「どの国が一番良かった?」と聞くと、きまって出てくるのが「イラン」。そんなイランの現地の家庭を泊まり歩いた旅行記です。言葉が通じなくても快く家に迎え入れてくれる、おせっかいであたたかな人々との出会いと、それぞれの家でご馳走になった“家めし”をめぐる食紀行。
単行本(ソフトカバー): 272ページ
出版社: 産業編集センター
ISBN-10: 486311222X
ISBN-13: 978-4863112223
発売日: 2019/4/15