イスラム女性は肌の露出がタブーなのに、なぜベリーダンスが許されるのか?
イスラムでは女性は肌を見せないのがルール。ではなぜベリーダンサーは許されているのでしょう?しかもそのポーズは腰をひねったり胸を小刻みにふるわせたりと、かなりエロチック。にもかかわらずアラブ・イスラム社会では、結婚式などにベリーダンサーがなくてはならないものになっているのです。
イスラムの教えと矛盾しないのでしょうか?
ベリーダンスはイスラム以前からの文化
ベリーダンスはイスラムがおこる前からの文化です。それが今も受け継がれているのです。
アラブの結婚式ではベリーダンスがつきものですが、これには豊穣を願う意味があります。新郎新婦をセクシーな踊りで盛り上げ、結婚後の夜の生活を大いに楽しんでもらおうという意味合いがあるのです。
アラブでは結婚したらすぐに妊娠するのがよしとされる。だからこそベリーダンスなのです。
売れっ子ベリーダンサーは外国人
アラブの国々にはベリーダンサーがたくさんいますが、売れっ子ダンサーは、ほぼ外国人です。エジプトならロシアや東欧、南米などの女性。日本人女性もいます。
上のアスマハンはエジプト人ですが、エジプト出身のダンサーは多くはありません。かつてはタヒア・カリオカやサミア・ガマールなど伝説的ベリーダンサーと呼ばれるエジプト人ダンサーがたくさんいました。
下は、タヒア・カリオカやサミア・ガマールなどエジプト出身のダンサーの踊りです。
アラブ出身のダンサーが減った理由
エジプトやアラブ世界で、以前より原理主義的な考え方が強くなったからです。こうしてほとんどが外国人ダンサーとなりました。エジプトで活躍している日本のベリーダンサーもたくさんいます。
イスラムと音楽や踊り
イスラムで音楽はあまり奨励されてはいませんが、現実には暮らしに音楽と踊りは根付いています。特におめでたい場所では、それらなしには成り立たない。喜びは歌って踊って表現するのです。
結婚式は男女別。そこではベリーダンサーだけでなく、普通の女性たちも競って踊りを披露します。アラブの女性たちは、プロ並みに踊りがうまい。小さな頃から「踊りがある暮らし」の中で育っているからです。
ベリーダンスは夫へのたしなみ
その踊りをどこで披露するかというと、1つは女性だけの結婚パーティ。そしてもう1つは結婚した後の旦那様の前です。大切な旦那様を楽しませるために踊る。ベッドの中で仲良くする前に。
ベリーダンスをうまく踊れることは、「セクシー下着」とともに、結婚するアラブ女性のたしなみなのです。
20年間にわたり取材したイスラム女性たちのリアルな日常を紹介。モロッコ、チュニジア、エジプト、イラン、パキスタン、モルディブ‥‥。歌あり踊りありデートあり。「抑圧」などメディアによって作られたイメージと違う、生き生きした女性たちの実像を紹介します。