イスラムの信仰とは?【感謝】
宗教でいう「信仰」とは、一般的に神を信じることですが、イスラムの場合もっと広い意味があります。
神アッラーを信じることはもちろんですが、その神に「感謝」すること。これがイスラムの「信仰」です。
イスラムの信仰とは「感謝」
イスラムの信仰とは、まずアッラーの存在とその特性を信じること。そしてアッラーに「畏れ」と「感謝」の気持ちを持つことです。
・「畏れ」‥世界を創造し、終末を引き起こし、最後の審判の厳正な裁き主である神を畏れること
・「感謝」‥世界の全てのものを創造し、特に人間のために全てを創造した神を崇め、感謝すること
とりわけ大事なのが、感謝です。神から多くの恵みを与えられていることに感謝すること。イスラムでは「信仰=感謝」です。
イスラムの感謝とは?
「神から多くの恵みを与えられていることに感謝する」とは、どういう意味でしょうか?
イスラムでは、神がすべてのものを「人間のために創った」とされています。
神が世界と全ての物事を創ったのは、人間に利益を与えるため。人間がその自然界を利用するためです。
だからその恵みに感謝するのです。(この恵みを「神兆(アーヤ)」と呼びます)。
『アッラーこそは、あなたがたのために夜を設けて憩いの時とされ、またものが見えるように昼をもうけられた方である。
アッラーは人間に対し、本当に恵み深くあられる。だが人々の多くは感謝しない。』(40:61)
世界は恵みだらけ
神は世界中の全てのものを人間のために創ったのですから、世界は神の恵みに満ちています。
地に花を咲かせるのも、人間の目を楽しませるため。夜をつくったのも人間を休息を与えるため。天に星をちりばめさせたのも、それで私たちの目を楽しませるため。動物は私たちがそれに乗ったり、それを食べるため‥。
『たとえ海が、主の御言葉を記すための墨であっても、主の御言葉が尽きないうちに、海は必ず使い尽くされよう 。
たとえわたしたちが(他の) それと同じ(海)を補充のために持っても。(18:109)
「言葉」とは、文字で書かれる言葉だけでなく「恵み」と「驚異」をさしています。つまりどんなに大きな海があっても、神の恵みを記すには足りないということ。
世界はすべて「神が人間のために創ってくれた恵みである」という目で見れば、何を見ても、何が起こっても、神の恵みを感じます。
誰かと誰かを合わせてくれたのも、神の恵み。そういう目と心を持てば、何を見ても感謝し、喜び、退屈するということがありません。
宗教を信じることで幸せになる理由
一般的に宗教は人が幸せになるための教えです。
ではイスラムは信じる人を幸せにするのでしょうか?
先に「信仰=感謝」と書きました。感謝することで、人は幸せになれます。感謝さえあれば、こころが満たされている。
なぜなら「幸福かどうか」は、感謝できるかどうかにかかっているから。
不幸な人は客観的に不幸な状況にいるのではなく、自分が現在生かされているのは誰のおかげか、そして自分がいかに多くのものにめぐまれているかを忘れ、感謝できなくなっているから、不幸になっているのです。
逆に幸福な人は、客観的には不幸そうに見えても、自分が多くのものを与えられたことに気づき、理解し、感謝している人です。幸福・不幸は心が決めるもの。
感謝の中にはあらゆる芳しい要素がこめられています。謙虚さ、寛大さ、明るさ、優しさ、楽しさ、のびやかさ。
だから感謝の人のまわりには人が集まります。
感謝を忘れ、文句ばかり言う人からは、人が遠のいていきます。
だから日々神の恵みに感謝するムスリムたちは、自然と満ち足りた、幸せな気持ちでいられ、多くの良き友人たちに恵まれ、結果的に幸せな心でいられるのです。