イスラムの性を理解するポイント①結婚の内と外
「イスラムの性」についてのポイントは2つあります。1つは「肯定的」だということ。2つ目は「結婚の内と外の2面性がある」ということです。
イスラムは性に肯定的
イスラムは「性」に対してとても「肯定的」です。夫婦の営みを積極的に奨励しています。性に対してやましいという気持ちもなく罪悪視もしない。快楽としての性を認めています。
コーランに次ぐ聖典ハディースには「性欲を満たすために結婚せよ」と述べています。
「アブドッラー・ビン・マスウード(ムハンマドの教友)は伝えている。アッラーのみつかいはわたしたちに「若者たちよ、あなたたちの中で妻を養える者は、結婚しなさい。そうすれば、あなたたちの目がよくない方にむくのが制され、不道義に走ることもなくなります。しかし、それができない者は、断食をしなさい。断食は性欲を抑える手段になります」といわれた。(サヒーフ・ムスリム」2巻436)
ただしルールが
ただし性を楽しむにはルールがあるということ。それは「結婚内で」。つまり「野放図に、だれかれかまわずやるな」ということです。父親がわからない子が生まれたら、人の幸せや社会秩序がダメージを受ける。
「人間は弱いもの」というのがイスラムの人間観。特に男性は性的欲望に弱い。だから野放しではいけない。一定のルールを設けているのです。
結婚の「内・外」の2面性
性を楽しむのは「結婚内で」。そのためイスラムでは結婚の「内と外」で性に対する態度が異なります。「婚外」の性交渉は厳禁です。姦通は重大な罪です。
一方で結婚内の性交渉は積極的に奨励されています(*イスラムのセックスや性生活のルール)。夫婦の夜を盛り上げるための女性下着が、町中のショーウィンドーに堂々とつるされ、夫婦仲良くショッピング。結婚式では初夜のベッドを花で飾り立てる。非常におおらかで、日本人の私でもびっくりです。
このように「結婚」を境に状況が180度変わる。これが「イスラムの性」の特徴です。
家族を重視するため
なぜ結婚を境に態度が一変するのか?「家族」に価値を置くからです。婚外の関係が禁止されるのは、結婚をダメージを与える行為だから。そのためイスラムでは結婚を推奨しています。年頃になれば周囲から「結婚しろ」とうるさく言われます。私がエジプトに住んでいた頃、頼みもしないのに縁談をセッティングされたことも!
なぜ家族を重視し、結婚を推奨するのか?それは子孫繁栄のためです。そして信者の幸せを考えてのこと。人間は弱いものであり、互いに男女が一緒になって足りない部分を補いながら暮らしてこそ幸せだ、これがイスラムの結婚観です。性交渉も夫婦間に限れば、様々なトラブルが防げます。「婚外子」など子供に対する差別を生んだりもしません。