ティクセ・ニャルマ尼僧院*心の平穏を得る方法<インド・ラダック地方>
ラダックの旅では、ぜひ尼僧院を訪れたいと思っていました。私は女性なので、興味あるのは男性より女性です。
というわけで、ティクセゴンパにほど近いニャルマ尼僧院を訪れました。
ニャルマ尼僧院 Thiksay Nyerma Nunnery
ニャルマ尼僧院はティクセゴンパから3キロほど離れたニャルマという場所にあります。幹線道路でミニバスをチャーターし、尼僧院まで向かいました。
僧院には2,3人の尼僧の方がいらっしゃいました。しかしどう話しかけてよいものかわからず、また私はラダック語ができないため、目があっても、ただニコニコするしかありません。
しばらく尼僧院の庭先を不審者のようにウロウロしていると、1人の尼僧の方が私の気持ちを察して、自分の部屋に案内してくれました。
ゴンパで一緒にお祈りをし、そのあと彼女の部屋へ。
6畳ほどの部屋にベッドがあり、ガスコンロも設置されていました。コンロの上には小さい鍋が2つ。
「ビスケット食べる?」
マリービスケットでした。
遠慮したのですが、どうしても諦めてくれません。断りきれずいただきました。
壁に作り付けの戸棚の中から、お客用のコップを手に取り、ナムキンチャイ(塩入りのミルクティー)を注いでくれます。チャイにバターまで入れてくれました。
ここで何年くらい暮らしているのだろう?これまでどんな人生を送ってきたのだろう?
色々聞きたいことはあるのに、言葉がわからないのがもどかしい。
「名前は?」だけはどうにか通じて、「ロ〇〇〇〇〇〇」と教えてくれました。(ラダック人の名前は長くて覚えられません)
オランダ人経営のホームステイ
尼僧院にはホームステイが併設されていました。正確にはゲストハウスです。ここでの滞在客の宿泊費が尼僧院へのバックアップとなるのです。
経営しているのはオランダ人のアニックという女性でした。彼女が最初にラダックを訪れたのが2003年。そして2006年に半年滞在。
ラダックの尼はとても大変な境遇にあるのを知り、一緒に暮らせる場所をと思い、ここをつくったそうです。2008年のことです。
今はもう1人のボランティアと宿を経営しています。インドにはビザの関係で3ヶ月しか滞在できないため、3ヶ月たったらオランダへいくそうです。
心の平穏を得る方法
アニックと話していると、知人の尼僧たちきて一緒のテーブルに座りました。アニックは出かけるとのことで、私の話相手は彼女たちにバトンタッチ。幸い3人とも英語が話せたため、ズケズケと質問責めにしてしまいます。
ー毎日どんなふうに過ごしているんですか?
朝5時に起きてお祈りをし、7時に朝食と掃除。それからは子どもたちに勉強を教えたりしています。
ー僧になるには?
ある儀式を経てなるそうです。
チベット仏教では最低限守らなければならないことがあるそうです。「嘘をつかない」「殺さない」「盗みをしない」「性的醜穢に走らない」「アルコール禁止」です。
ーどうして尼僧になったのですか?
私がいちばん聞きたかったことです。
「レーの衰退した生活を見て、心の平穏が欲しくて」と1人が答えると、もう1人が「自分の家族が立て続けに亡くなって、何か頼れるものが欲しくて」。
2番めの方は、「身近に尼がいて、そのシンプルな暮らしに憧れて、自分も尼になった」。
「尼僧になって心が穏やかですか?」とたずねると「毎日が訓練です」とその方はいいました。
「心の平穏はどこか外からやってくるものではなく、心の訓練によってもたらされるのです。毎日訓練していれば、どこにいても、どんな環境にあっても平穏はもたらされるものですよ」。
いくら恵まれた環境にあっても、その人に平穏を感じ取る心がなければ、平穏な心ではいられないでしょう。
逆に外からは苦しい環境に見えたとしても、訓練次第で平穏な心でいられる。
私にはとても印象深い言葉でした。
Thiksay Nyerma Nunneryへの行き方
ティクセゴンパThiksay gompaは、ラダックの中心レーから南東約19kmの場所にあります。
ティクセゴンパへは、まずチョグラムサルまでバスなどで行き、チョグラムサルから乗合タクシー(ミニバスのようなもの)に乗り換えます。
乗り合いタクシー乗り場は、テョグラムサル・ザンパという場所(商店などが集まっている十字路)です。車がいっぱいになったら出発です。
ティクセゴンパからニャルマ尼僧院へは歩けないこともありませんが、幹線道路を走っているミニバスなどをチャーターして向かうのが良いと思います。