2018-10-11

モロッコの廃村で古民家ホームステイ*アイト・マンスール

モロッコ タフロウト アイトマンスール

モロッコ南部アイト・マンスール渓谷のグダルト(Gdourt村)でホームステイをしました。村はほぼ廃村ですが、その中に唯一住み続けている家族がいて、民宿をやっているのです。宿の名は「シェ・ラシード・オーベルジュ(Chez Rachid auberge)」。

アイト・マンスールの廃村の民宿

屋上のテラスで家族写真。後ろに廃墟の家々が。なかなかシュールな光景。

グダルト村へ

アイト・マンスールは、タフロウトから南へ約30kmの場所にあります。

タフロウトから1時間ほどでアイト・マンスール渓谷に到着。さらに、15分ほどでグダルト村に着きました。

アイト・マンスールの民宿の主人

私のスーツケースを持って、スタスタと自分の宿に向かうラシードさん。

あらかじめ宿に電話を入れておいたため、主人ラシードさんがバスの到着に合わせて迎えに来てくれていました。予約しておいて、よかったです。というのも廃村の中は道が入り組み、とても自力では宿が見つけられません。

アイト・マンスールのグダルト村の廃墟。

グダルト村には、こんな廃墟の家々が並んでいる。

このラシードさんは、なかなか個性強い人物で(他人の事は言えませんが)、彼との滞在はとても思い出深いものになりました。

シェ・ラシード・オーベルジュ(Chez Rachid auberge)

アイト・マンスールの民宿の部屋。

2階の広いリビングに通されました。滞在中に寝たのは、このリビングです。(角にラシードさんが布団をしいてくれました)。

アイト・マンスールの民宿でミントティー

ラシードさんが用意してくれたお茶で喉をうるおします。モロッコ人は誰でもポットを高い位置にかかげ、上からお茶を注ぎます。よくこぼれませんね、おみごと。私にはとてもマネできません。

ラシードさんはマラケシュ生まれ。お父さんがこの村の出身で、16年前にここに移り住んだそうです。今は畑でとれた野菜やナツメヤシを売ったりして生計を立てているとのこと。

「自然の生活が好きだから」とラシードさん。「それに、ここはとても静かだし」。

アイト・マンスールの廃村の民宿

屋上のテラスの横にある部屋。ここで食事をいただくことも。

食べ終わると、家の中を案内してもらいました。3階はテラスと上の部屋、テラスの奥に台所があります。

タジンのランチ

アイト・マンスールの民宿の夫婦

台所仕事を担当するのは主に奥さんですが、ラシードさんもかいがいしく手伝います。奥様はティズニットの近くの村の出身。「ここに暮らしていてハッピーですか?」と聞くと「とってもハッピーよ」。

2人のなれそめは、彼がナツメヤシを売っている時に、お客として買いに来た奥さんに一目惚れ。その場でプロポーズしたそうです。

アイト・マンスールの民宿のタジン。

ミントティーをいただいた後、ランチを出していただきました。チキンのタジン。野菜の味が濃厚でした。写真には写っていませんが、自家製ニンジンジュースもいただきました。

ランチは牛肉のタジン。にんじん、じゃがいも、ズッキーニ、オリーブなど野菜がたっぷり。パンは奥さんの手作りです。サラダは控えめな味つけでした。オリーブも塩気が少なく、マイルドな味。写真には写っていませんが、自家製ニンジンジュースもいただきました。

「後で散歩しよう。今は暑いから、昼寝でもしてて」とラシードさん。食事をいただいた広いリビングにシーツをしいてくれました。外は40度近い暑さ。遠くでアザーン(モスクの礼拝の呼び声)が聞こえます。

アイト・マンスールのハイキング(1日目)

アイト・マンスール渓谷

途中には、グランドキャニオンを思わせる渓谷風景が楽しめる。

日がやや西に傾く頃、ラシードさんと渓谷のハイキングへ。片道1時間半ほどの行程です。モロッコの「グランドキャニオン」と呼ばれるアイトマンスール。途中の景色はグランドキャニオン風の谷間があったり、木々が生い茂るオアシスがあったりと、かなり見応えありました。

アイト・マンスールでトレッキング

小川の水を飲むラシードさん。

これは泉の水だそうです。私もおそるおそる飲んでみましたが、なるほど美味しい。飲んだ後もお腹の調子は大丈夫でした。

モロッコの古民家ホームステイ morocco village homestay

ラシードさんは、ナチュラリストと自称するだけあり、しばしば立ち止まっては「これがイチジクの木」「これがレモンの木」などと教えてくれます。時々、道端にある枯れ木などを(他の人が歩きやすいようにか?)杖でわきにどかしたり。

アイト・マンスールの廃村

アイト・マンスール渓谷の中にある廃村フェエゲル村。同じような廃村が渓谷の中にはいくつもある。

歩き始めて30分。「フェエゲル」という廃村がありました。他にも人が住まなくなった民家が途中いくつもあります。

アイト・マンスールの売店。

トレッキング終点で休憩した売店。ここでお茶を出してもらえる。トイレもあり。

ようやく終点に到着し、売店で一休み。店の前にテーブルと椅子があり、座ってお茶が飲みます。砂糖がたっぷり入ったミントティー。テーブルの裏は椰子の木林になっていて、葉っぱがゆれる音に耳をすますのも良い気分です。

アイト・マンスール渓谷を歩く女性

帰りの風景。この地域の女性はほとんどが黒い衣装を着ている。

アイト・マンスール渓谷の中には大きく5つの村があります。このカフェがあるのは「ティウティ」という村。ティウティ村には30人くらいが暮らしているそう。他にテムサウト、アグディム、タムルート、ティウリなどの村々があります。

この日はたっぷり運動したので、夜はぐっすり眠れました。

アイト・マンスールのハイキング(2日目)

 

アイト・マンスールの民宿

朝食は屋上のテラスで。ミントティーや自家製のパン、ジャム、ケーキ、アムル(ナツメヤシとオリーブオイルなどを混ぜたもの)など盛り沢山。

朝食のあと、またラシードさんとハイキングへ。前日とは反対方向にある、古い村ファフィル(Fafil)村へと向かいました。ラシードさん宅での滞在、なかなか盛り沢山です。

アイト・マンスールの廃村

ファフィル村。ほぼ廃村となっている。

グダルトから歩いて30分。ファフィル村が見えて来ました。

アイト・マンスールの廃村のオリーブオイル搾油機。

古いオリーブオイル搾油機。

古いオリーブの圧縮機。木の棒を家畜に引かせて、オリーブの実をすりつぶして油をとります。ちょうど古い家の持ち主(左の若者)が現れたので、今は使われていない彼の家を見せてもらいました。

アイト・マンスールの廃村の古い民家。

古い家の中には、当時使われてきた古い民具がそのまま保存されていた。

古い民具が残されていました。博物館のようです。

アイト・マンスールの廃村

古いバブーシュ(モロッコの伝統的なサンダル)。

昔の「バッブーシュ(モロッコの伝統的な靴)は、こんな感じだったのですね。天井の梁にはヤシの木が使われています。

アイト・マンスールの廃村の古い家

台所あと。手前に見えるのは、パンを焼く時に火をおこす「ふいご」。モロッコの農村では今でも使われている。

アイト・マンスールの廃村に住む老女

おばあさんに話しかけるラシードさん。

家を出ると、目の前におばあさんが座ってらっしゃいました。前の家で1人暮らし。なんと94歳だそう。ずいぶんお若く見えますね。かつてはさぞかし美しかったことでしょう。

「1人で暮らして大丈夫なのですか?」ときくと、「毎朝同じ村の人が様子を見にくるからね」。息子さんがマラケシュに暮らしているけれど、おばあさんはもちろん生まれ育った村の方が好きだそう。おばあちゃん、いつまでもお元気で。

シェ・ラシード・オーベルジュ(Chez Rachid auberge)」の情報

ネットからは予約できないため、直接宿に行くか、電話で予約することになります。

Tel: +212 677-731548

場所がわかりにくいので、迎えにきてもらうのがベターです。宿代は食事込み1泊250ディルハム(約2700円)(2018年7月)。食事代、ハイキング代込です。

タフロウトからアイト・マンスールへの行き方

アイト・マンスール、グダルト行きバス乗り場

タフロウトからアイト・マンスールへのバスと乗り場

写真左の黄色いバスが、タフロウトの町の中心にある「アフリキヤ・ガソリンスタンド」の前から出ます。出発時刻はおよそ午前11時〜12時。私の時は12時近くに出発しました。お客の集まり次第などで時間が前後する様子。

便数は確かめませんでしたが、おそらく1日1便のようです。早めにバス停に行って席を確保し、出発まで近くのカフェなどで時間をつぶすのが得策。

ちなみにタフロウト→アイト・マンスールまで車をチャーターすると300〜350ディルハム(4千円)ほどです。チャーターしても良かったのですが、地元の人がどんな乗り物に乗るのか興味があったので、バスにしました。

アイトマンスール・グダルト までの道

タフロウトの町を出てしばらくすると、車は山を登り始めます。途中の風景はずっとこんな感じです。

アイト・マンスールは、実は海外やモロッコ人のサイクリストが好んで行く場所です。だからけっこう簡単に行けるのかと思ってましたが、とんだ間違いでした。アップダウンが激しいし、途中無人の荒野がずーっと続きます。自転車がパンクなどしたら、この炎天下、なすすべがありません。チャレンジしても良いのは、よほど体力に自信のある方だけです。

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