『世界のくらし インドネシア』が3刷となりました。
『世界のくらし インドネシア』に2度目の重版がかかり、3刷となりました。ご購入してくださった方、お読みくださった方、本当にありがとうございました。
インドネシアはどんな国?と気になる方に、本の「あとがき」を紹介します。
*
「こちらの人は死際に生きることに執着しない」と、インドネシア人男性と結婚して旅行会社を営む中辻朝さんからお聞きしました。ある程度の年齢まで楽しく生きられたら、それでいい。高い医療費を払って延命治療しながら少しでも長生きするより、家で家族に囲まれながら楽しく人生を終えたいと思っているそうです。
インドネシアでは医療保険制度が日本ほど整っていないため、庶民は気軽に医療にかかれません。一方で大家族制が生きているため、結婚後は長男も次男も両親と同居するのが普通です。年老いた両親は、家族が死ぬまで面倒をみるのです。
日本には優れた医療保険制度があり、ほとんどの人が必要な医療が受けられます。それはとても喜ばしいことである反面、人生の最期を病院で迎える人も少なくありません。
私のはじめての海外一人旅はインドネシアでした。バスで隣り合った人に話しかけれて、片言のインドネシア語で返すと、「家に来なさい」と言われることがたびたびあり、何軒もの家々を泊まり歩きました。
あれから20年以上たち、この国はどう変わったのかに興味がありました。誰もがスマホを持つようになり、アプリを起動してさっとタクシーを呼び出すのには驚きました。しかし人の温かさはあいかわらずで、私がホテルへの行き方がわからなくて困っていると、自分の予定を変更してホテルまで付いてきてくれる人もいました。
他人への思いやり、人と人とのつながりという人間の最も尊いものにふれることができるのが、インドネシア滞在の楽しみです。もしみなさんがインドネシアに行く機会があれば、そういうこともぜひ感じ取っていただけたらいいなと願っています。