写真にテーマは必要?写真と旅と人生の共通点
写真を始めてから今まで、テーマを探すのに一生懸命だったように思います。
写真を始めた頃は、自分のテーマと呼べるものがなかったので、海外に行けばそれが見つかるのではと、アジア・アフリカを放浪しました。その旅の途上で、イスラム圏の人々の温かさに触れ、イスラム圏をテーマにしようと漠然と決めました。
その後、ただ「イスラム圏」だけではない、もっと深いテーマはないのか? そう思って情報収集をしているうちに、遊牧民に出会いました。エジプトの砂漠で一人で遊牧している女性です。2003年から始めて今でも追いかけているテーマです。
テーマを持つことのデメリット
一方で、テーマを決めると、逆に写真がつまらなくなるかもとも感じています。テーマにひきずられ、それ以外の面白いものが目に入らなくなるからです。
「テーマを持て」ということも昔から言われてきましたが、カメラを向けてシャッター切るのは直感なんです。撮るべきものが決まっていて撮るなんてつまらない。カメラを向ければ撮れてしまうというあたりまえのことから何を発想するか、それだけのことです。(「誰も教えなかった“自分流写真”の方法」)
テーマはテーマとして撮り、同時にパッと面白いと思ったものを直感で撮る。そう器用にできればいいんですけどね。
またテーマがなくても、撮りたいものを撮っていくうちに、後になってそれが「1つのテーマ」としてまとまることも十分あると思います。
テーマよりも大切なこと
雑誌に写真を載せるようになると、「こういうものを撮った方が雑誌に使えるのではないか?」「人から評価されるのではないか?」と思って撮るようになります。撮る時の「気持ち」よりもテーマが優先してしまう。そうなると、写真はつまらなくなると思います。
頭の中が真っ白な状態で、目の前の光景に「いいな」と感じたら撮る。そういうほうがいい。何より楽しんで撮った気持ちは、写真に出ます。うまく撮ろうなんて難しく考える必要はありません。
写真にも人生にも余白があった方がいい
写真も旅や人生のようなものだと思います。旅のテーマや見るものが決まりすぎていると、逆に現地で他に面白い場所を見つけても、そこに行く時間がなかったりします。
「人生のテーマ」が確固としてあったら、逆に人生がつまらなくなるんじゃないでしょうか。
テーマや目的がある人生。生まれてから死ぬまでスケジュールびっしり。そういう人生は楽しいでしょうか?写真も人生も余白があるから面白いのだと思います。
「誰も教えなかった“自分流写真”の方法」
これを読むと、「写真って気軽な気持ちで撮ればいいんだなあ」と思います。良い本です。
「いちいちああだこうだとテーマを決めて狙い定めて撮るなんてことを続けていたら息がつまっちゃう。しかめっつらで創作にはげむなんてことも写真には似合わない。」
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