サウジアラビアのコーヒー農園とフラワーマン*ジザン
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この地方の伝統である花輪を頭に飾る少年。
サウジアラビアのおもてなしといえば、デーツとアラビックコーヒー。そのコーヒーはどこで作られているのでしょう?
というわけで、サウジアラビアのコーヒー農園を訪れました。南部の都市ジザンの近郊にあるファイハFayfa山中です。この地方は文化や風習も独特でした。
ファイハ山の場所↓
道中、おサルさんがお出迎え。
ジザンのコーヒー農園
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コーヒーの木の手入れをする。
サウジアラビアは世界でも有数のコーヒー生産国。コーヒーの栽培が盛んなのは、南部のアブハーやジザン近郊の山岳地帯です。
このあたりは気候が穏やかで、湿度と降雨量が高く、コーヒーの栽培に適しているから。ジザンエリアには79,000 本ものコーヒーの木があるそうです。
訪れたのはスルタンおじさんのコーヒー農園。祖父の時代からのコーヒー農園です。
ちなみにスルタンおじさんには8人の息子と2人の娘さんがいらっしゃいます。サウジの方は子沢山ですね。
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コーヒーの実。
おじさんの農園には2000本のコーヒーの木があるそうです。収穫シーズンは10月から4ヶ月間。
毎日朝6時から夕方6時まで農園に出て、コーヒーの木の剪定などをしています。農薬はいっさい使っていないとのこと。農薬を使わなくとも、よく育つのでしょうね。
収穫はヤギの皮を使ってつくった「ジュラーブ」という袋に入れます。地元の女性がつくったものだそう。
サウジアラビアのフラワーマン
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花輪を頭に飾るスルタンおじさん。
このジザン地方の山間部の人々は、風俗や習慣もサウジの他のエリアとは違い、ユニークです。
その一つが男性が頭にかぶる花輪。これはイサーバといい、草花でつくります。ジザン中でも花輪をつけるのは山間部の人たちに限られています。
イサーバをかぶるのは、まず金曜日のお昼の礼拝のためにモスクへ行く時です。金曜日のお昼の礼拝は、イスラム教徒にとってもっとも大切なもの。そのため身だしなみを整えてモスクに向かうのです。
何かの集まりがある時などにも花輪をかぶります。
なぜかぶるんですか?ときくと「良い匂いのため」とのお答え。香水みたいなものでしょう。
頭痛を治すこともあると信じられているそうです。
花輪はさまざまなハーブや草花からつくるので、とても良い匂いがします。
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ファイファ山中のマーケットで花輪の材料を売る男性。
コーヒー農園のスルタンおじさんは、ヤギの放牧に出かける時にこの花輪を頭につけるそうです。面白いのは、農園の手入れをするときはつけないこと。
コーヒーの木や実が、草花の美しい香りで負けてしまうからでしょうか?
はたまた放牧では少し遠くへ行くため、おしゃれしたいからでしょうか?
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こんなゴージャスな花輪をつけている方も。
以前は男女ともかぶっていましたが、今は男性だけだそうです。100年前は女性たちはニカブをつけていなかったそう。
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この地方の腰布はジザン地方の言葉で「マスナフ」という。
花輪とともに男性が身につけるのが「ジャンビーヤ」。イエメンなどでもよく見かける刀です。こちらも実用というよりは「身だしなみ」。まさか、刀をぬいて切り付ける、ということはないでしょうね。
ジザンの山間部の人々は、話す言葉も町の人と大きく違い、町に住むドライバーさんも、山の人たちが話している言葉が理解できないと言っていました。
とはいうものの、そこは「花の民」。男性たちはとてもやさしい人が多くて、カメラを向けると快く写真を撮らせてくださいました。
本当にありがとうございました!!