シベルート島メンタワイ族の高床式住居「ウマ」
インドネシア・シベルート島のジャングルに暮らすメンタワイ族の家に滞在しました。滞在したのは、メンタワイ族の伝統的な高床式住居「ウマ」です。
メンタワイ族の住居「ウマ」とは?
ウマは奥行き20~30mほどの巨大な高床式住居です。ここに血のつながった父系血縁家族20~30人が一緒に暮らしています。いわば1つのウマに住む人々は1つの村のようなもの。子供が生まれたらみんなで育て、日常の家事も分担し合います。
ウマの中は3つのスペースに分かれていて、入り口からスペース①→②→③と続きます。スペース②と③の間には壁がありますが、①と②の間にはありません。
上がスペース①。家族が雑談したり、お客様を招く場所です。作りつけのベンチがあり、ふだん家族はそこに座って雑談したり、ぼうっとしたり、タバコを吸ったりしています。右に少しだけ見えるのが木製のテーブルで、この上にお湯が入ったポットが置かれ、気がむいたらコーヒー、紅茶を飲んでいます。家族はとてもお茶好き。砂糖をたっぷり入れます。(糖尿病が心配)
玄関の上は物置スペースがあり、お祭りの時に使う道具などが保管されています。
こちらがスペース②。その入り口にはサルの頭蓋骨が飾られています。これは、サルをとった後、その霊をウマにとどめておくため。
中心に炉(奥行き1m、幅3mほど)があり、いつも大鍋でお湯をわかしています。
この炉のそばに、木製の長細いテーブルがあり、その上にポットなどが置かれています。その下は食料貯蔵庫になっていて、作って余った料理をこの中に入れておき、食べるときは温め直します。壁に中華風の鍋がいくつもかけられていて、これらはお祭りや結婚式など大勢招待客がいる時に使います。
スペース②の上にも屋根裏スペースが。
一番奥のスペース③。左右に1つずつ炉があり、ここでは主にサゴ(メンタワイ族の主食)などを料理しています。
蚊帳
スペース②と③に蚊帳が貼られています。私が寝た蚊帳は、スペース②の一番手前。蚊帳は全部で7つ貼られていましたが、家族16人がどのように分かれて寝ているのかは、最後までわかりませんでした。お母さんとお姉さんたちが一緒に寝ているのは、わかっていますが。
蚊帳は貼りっぱなしです。網の目が細かいからか、外から中は見えません。なので蚊帳の中にいると適度にプライバシーが保たれ、いわば各自の部屋みたいな感じです。
裏口を外から見たところ。食べ終わったバナナの皮などは、ここから外の茂みに投げ捨てます。ウマの暮らしでは「ゴミ出し」などはありません。ビニールの袋などは炉にくべて燃やしてしまいます。
サゴを包んでいた葉っぱなどは、食べ終わったら床のすき間から下に捨てます。ウマの床は幅15センチほどの板で、ところどころパカっと持ち上げられるようになっており、そこから下に捨てる。(それを下にいるニワトリなどが食べる)。というわけで、ウマでの暮らしでは、ほとんどゴミが出ないのです。
川とウマの位置
ジャングルでは飲み水や生活用水は川の水を使います。川はウマから70メートル近くのところにあり、毎日バケツを持ってそこまで水をくみに行きます。使った皿やコップは川に持って行って洗う。だからもっと川の近くにウマがあればよかったのにと思いましたが、プライバシーや川の氾濫の危険?などいろいろなことを考慮して、今の立地を選んだのでしょう。