イスラムの教えとは?*信じ・行うことで幸せになれる道徳的価値観
イスラムの教えとは、「神アッラーを信じ、良い行いをしなさい」「それによって天国へ行けます」というものです。
ではアッラーとはどんな存在か?「良い行い」とは何か?それらはコーランに記されています。
アッラーを信じる
イスラムの第一の教えは、神アッラーを信じることです。ではその神はどんな存在でしょうか?
『アッラーは唯一なる御方であられる。自存され、御産みなさらないし、御産まれになられたのではない、かれに比べ得る、何ものもない。』(112章)
この意味は「神は唯一で、その存在は絶対で永遠であり、始めも終りもない。誰かから生まれたわけでも子を産むわけでもない」です。
コーランは全部で114章あり、神はどんな存在か?が至るところに記されていますが、この章は神の本源的な内容を短く明確に表しており、コーランの3分の1とされ、ムスリムたちに広く愛読されています。
善行をしなさい
またコーランでは善行をすすめています。
『アッラーがあなたに善いものを与えられているように、あなたも善行をなし、悪事に励んではなりません。』(28:77)
そして「善行をなすことで天国へ行ける」と説きます。
『もし一善があれば、かれ(神)はこれを倍加なされ、またかれの御許から偉大な報奨を与えられよう。』(4:40)
つまり信仰と善行の両方がともなうことが、天国へ行く条件です。
善行とは何か?
ではその善行とはどんな事でしょうか? コーラン6章151~153節に列挙されています。
1 アッラーの他に一切の神を認めないこと(多神教は最大の罪)
2 両親にやさしくすること
3 いくら貧乏でも自分の子供を殺さないこと
4 性的な不品行なことに近づかないこと(婚外交渉など)
5 人を殺さないこと
6 孤児の財産を守ること
7 商売において計量をごまかさないこと
8 公正な発言をすること
9 神との契約を履行すること
10 イスラムの教えに従うこと
これはコーランにおける「10の命令(十戒)」と言われ、「人として最低限守るべきこと」を説いたものです。
5は、人間だけでなく動物などの生命が含まれるとされます。すべての命は神がお創りになったもの。だから動物を殺して食べる際も神に感謝し、一定の方式が整わなければ、食べることはできません(*ハラル食品とは?)。
『あなたがたはアッラーの他に、何ものも崇めてはならない。父母に孝養をつくし、近親、孤児、貧者を親切に扱い、人々に善い言葉で話し、礼拝の務めを守り、定めの喜捨をしなさい。」(2:82)
「善い言葉」とは、表現が丁寧であるだけなく、善い行いもさします。
そしてこれら「信仰」と「善行」を信者の義務として具体化したものが、六信五行と呼ばれるもので、「6つの信じるべきもの・5つの行うべきこと」の意味です。
善行とは道徳的な生き方
つまりイスラムですすめる善行とは「道徳的な生き方」です。
両親を大切にし、孤児を思いやり、貧しい人を助け、不品行をしない‥‥。日本の道徳、さらに人間全体に通じる教えとも言えます。
人として生きるために身につけるべき「徳」と言ってもいいでしょう。
こう思うと、イスラムの教えとは、決して突飛なことではないとわかります。
(*イスラムの戒律は厳しい?その教えは柔軟で合理的)
そしてイスラムでは「徳」を身につけることが幸せにつながると教えるのです。
なぜなら「徳」があることで良い行いが可能になり、それによって良い人間関係に恵まれ、さらに来世で楽園に入れてもらえます。
つまり「人が幸福になるために、信じ、行うべき道徳的価値観の集大成」。これがイスラムです。だからこの教えを受け入れることで、現世と来世で幸せになれるのです。