マトマタ*スターウォーズのロケ地となった穴居住宅の暮らし
チュニジアには映画「スターウォーズ」のロケ地になった場所がいくつかあります。その一つがマトマタで、ここには土を掘ってつくった穴居住居が残っています。穴居住居とは先住民ベルベル人の住居で、地面に大きな穴を掘り、その穴から放射状に横穴をくりぬいた住居。
アラブ人が来る以前からベルベル人はここに暮らしていました。その後アラブ人の侵入を恐れて山中に逃げ込み、山肌に洞窟のような住居をつくって暮らすようになります。やがて平和なるにつれ、平原に下りてきて居穴住居をつくるようになりました。
マトマタの居穴住居は、今はホテルに転用されていたり廃墟になっていたりするものがほとんどです。居穴住居の暮らしに興味があった私は、マトマタ近郊のベニアイッサ村へ行き、今も居穴住居で暮らす家族の家に滞在しました。ご夫婦と2人の子ども、ご主人のお母さん、弟さん家族と2人のお子さんが暮らしています。
居穴住居のつくり
家の中はどの部屋も壁が白く塗られ、天井はドーム型をしています。これがとても温かみがあります。天井が低いために落ち着きも感じます。
土の中なので、冬温かく夏は涼しい。この辺りは7、8月に気温が50℃近くになりますが、家の中は25℃くらいに保たれているそうです。
毎日の食事は2人の奥様が共同で作ります。料理している間は、年長の娘さんが他の子どたちもの面倒を見ています。大家族はいいですね。
朝食はハリサと豆の煮込み
遅い朝食をいただきました。メニューはフライドポテト、ししとうのフライ、ヒヨコマメの煮込みなどです。奥にある赤いものが、唐辛子のペースト(「ハリサ」)。ハリサはチュニジア料理の基本アイテムで、唐辛子にトマトやニンニク、オリーブオイル、スパイスを加えて作ります。
食後はお茶タイム。お茶は緑茶で、ミントと砂糖がたっぷり入っています。お茶は中国からの輸入です。砂糖はかなりたっぷりと入れますが、辛いハリサなどの料理を食べた後は、この甘さがなんとも言えずおいしい。
お茶の作り方です。まず火鉢の上の赤いポットに茶葉とドライミント、砂糖をたっぷり入れ、炭の上でグツグツと煮込みます。煮立ったらグラスにほんの少し注いで、色と味が出ているか確かめます。
飲み終わったグラスは、左の青いバケツにある水にさっとくぐらしてすすぎます。おいしくて、ついつい何杯もおかわりしてしまいました。
豆たっぷりのクスクス
まったりとお茶を飲んでいるうちに、すぐにランチの時間になりました。ランチは干し肉やたくさんの種類の豆が入ったヘルシーなクスクス(世界最小のパスタ)です。
クスクスを蒸しているところです。下の鍋にクスクスにかけるスープが入っていて、その蒸気でクスクスを蒸します。できあがったら、クスクスの上からスープをかけて食べます。
雨水をためる貯水槽
庭には雨水を貯める貯水槽があります。チュニジアは南北に長い国。地中海に面した北部は湿潤な気候ですが、南部のこの辺りは乾燥していて、年間降水量はわずか200ミリほどしかありません。そのため雨水を保管して、あらゆる生活用途に使うのです。
雨水は家の周囲に掘った溝から導いて集めています。雨水は料理、家畜の飲み水などに使うほか、お茶をいれるのにも、お茶を飲んだグラスをすすぐのにも使います。
今では居穴住居の横にコンクリートの家を建て、そこで暮らしている家族が増えているそうです。
マトマタの場所
マトマタに行くには、南部の拠点となるガベスに行き、そこでマトマタ行きのルアージュ(乗合バン)に乗り換えます。チュニスからガベスまでは、車で4時間くらい。ガベスからマトマタへは1時間ほどです。
★「『女ひとり、イスラム旅』
女ひとりでモロッコ、チュニジア、オマーンなどを旅した旅行記。モロッコではラバトのプー太郎青年と知り合い、彼の自宅や古い邸宅に暮らす友人宅を訪ねた歩いた体験、カスバ街道の美女とハマムで汗を流した話などが書かれています。
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