中東イスラム圏を女性一人旅して驚くこと
これまで20年以上イスラム世界を旅してきました。何か魅力なのか?
現地で「良い意味で驚くこと」や「先入観をくつがえされたこと」があるからです。
知り合ったばかりの旅人を家に招く
最も印象深かったのは、イランでのこと。夜10時にとある町にバスで到着したことがあります。
その日は泊まるホテルを決めておらず、町に着いてから探そうと思っていました。
幸い、町までのバスで一緒だった男子学生が私を心配してくれて、ホテル探しを手伝ってくれることになりました(イラン人は本当に親切なのです)。
そこで一緒に夜道を歩いていたら、1台の車がすーっと私たちの横に止まりました。運転席には男性が。その彼が言いました。
「こんな夜中に何しているのですか? よかったらうちに来なさい。ホテルは明日探せば良い」。
後ろの席には奥さんと娘さんとおぼしき女性たちが座っていました。男子学生が一緒に家についてきてくれるというので、安心して家族の家に行ったということがあります。
実はこういうのはイランではよくある話なのです。
先の例のように、いきなり道で声をかけられるのは珍しいですが、バスや電車の中で隣り合って話がはずみ、「これから家においで」となることは、数え切れません。
物乞いを家に招いて一緒に食事
イスラム圏の人は物乞いにとてもやさしい。道で物乞いを見かけると、必ずと言っていいほど喜捨(お金を与える)をします。
なぜならイスラムの聖典コーランには「物乞いにやさしくしろ」「物乞いに喜捨すれば天国に入れる」と繰り返し書かれているからです。
エジプトの友人の家で食事に呼ばれた時のこと。親戚・友人が集まって食事スタートした時、ぶらっと一人の女性が入ってきました。
一見ごく普通の女性で、最初は親戚の一人かと思っていました。でもどうも様子がおかしい。彼女は誰ともおしゃべりせず、どことなく浮いている。
あとで家の人に聞いてみたら、「貧しい人よ」とのことでした。
イランの地方都市で泊まっていたホテルでは、物乞いがレストランで食事をしていたこともあります。その食事はホテルの施しだったのです。
その時ホテルの従業員に「彼女に施ししてくれ」と言われ、いくばくかのお金を渡しました。お礼はもちろん言われません。物乞いは人を天国へ導く手助けをしたことになり、逆に感謝される存在だからです。
(参考:イスラムにおける「喜捨」とは何か?)
乗り物の中で若者が席をゆずる
エジプトでもモロッコでもイスラム圏の若者は、乗り物の中でお年寄りや女性に実によく席をゆずります。
お年寄りが乗ってくると、座っている若い人はさっと席を立つ。これは見ていて本当に気持ちが良いです。
男性は女性に席を譲るのが当たり前。近くに女性が立っているのに自分が座っているのは、すごく恥ずかしいことみたいです。
車椅子の方が電車を乗り降りする際には、周囲の男性たちが率先して補助をします。日本のように駅員が手伝うわけではありません。
「弱者救済」がイスラムの重要な柱だからです。
(参考:イスラムの基本思想② 信者間の「平等」と「弱者救済」)
目抜通りにセクシー下着ショップ
イスラム圏では、しばしば女性用のセクシー下着のショーウィンドーを見かけます。そこには日本人が見ても赤面しそうな、派手な女性下着が。
イスラムの国といえば、女性は肌を見せず、スカーフをかぶっている。なのにこんな下着を公衆の面前に出して良いのか??
最初は不思議でしたが、イスラムのことを知れば納得します。
イスラムでは夫婦の性をとても大切なものとしているからです。セクシーな下着は、二人の夜を盛り上げるための欠かせないもの。
夫を喜ばせるために、 女性は結婚前(結婚後も)セクシー下着を大量に購入します。
宗教的になんらやましいものではなく、むしろ奨励されているのです。
日本とは全く違う文化に触れる楽しみがある。イスラム圏の旅行、楽しいですよ!
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